【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
「そ、そんなご立派な方……」
 むしろ恐縮してしまう。
「ですが、子どもたちは期待していますからね。その期待に応えましょう。それも指導する者の役目ですよ」
 からりと明るく王太子は言ってのけたが、当事者となるのはシアだ。
「よろしくお願いします」
 相手の騎士に向かってシアは深々と頭を下げる。
「あ、あぁ……よろしく……」
 彼が手を差し出してきたので、シアも握手を返す。ぎゅっと力強く握りしめられ、彼はなかなかその手を放そうとしない。
「あの……?」
 見上げれば、深い紫色の瞳と視線が合った。
 先ほどから執拗にシアを追っていたのはこの視線だ。
「す、すまない」
 なぜか慌てたように彼はぱっと手を放した。
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