【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 シアは両手で剣を構えて、ジェイラスと対峙する。上背もあり肩幅もがっちりとした彼と向かい合えば、シアの小柄さがより目立つ。力でぶつかり合ったら負ける。
「では、始め」
 号令をかけてきたのもランドルフだ。どうやら彼は、この試合の判定員を行うつもりらしい。
 シアは重心を低く落とし、鋭い眼光でジェイラスの動きを捉える。頭の中で瞬時に戦略を組み立てる。力では敵わない。ならば、速さで隙を突くしかない。
 ジェイラスもまた、木刀を構え、シアの出方をうかがっている
 子どもたちは息を殺し、固唾を飲んで見守る。
 ひゅぅっと風が二人の間を切り裂いた瞬間、シアが動いた。地面を蹴り、一気に間合いを詰める。
 バシッ!
 木刀が激しくぶつかり合い、鈍い音が庭に響く。
(重い……!)
 シアの腕に衝撃が走り、木刀がわずかに震える。
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