【完結】記憶をなくした女騎士、子育てに奔走していたら元彼が追いかけてきたらしい
 フランクの言葉も間違いではないようだ。ヘリオスはシアの服をぎゅっと握って、離れまいとしている。
「フランク、いろいろとありがとう。では、私、先に帰りますね」
「うん、では、また」
 フランクとシェリーが手を振って見送ってくれた。
 シアはヘリオスを抱き直して、自宅へと向かう。夕暮れの街に、子どもたちの笑い声が響いてくる。養護院の子どもたちの声だ。
「シア……」
 養護院の敷地を出たところで、いきなり名前を呼ばれた。振り返れば、先ほど手合わせをした騎士、ジェイラスが立っている。
「まま~、かえるよ~」
 シアが立ち止まったのをヘリオスも敏感に感じ取ったようだ。
「本日はご足労いただき、ありがとうございました。息子がぐずっておりますので……これで失礼いたします」
 ヘリオスは先ほどから不機嫌だ。ここ数日、街の様子がいつもと異なっていたこともあり、落ち着かないのだろう。
「待て……!」
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