婚約者を寝取った妹と浮気した婚約者に命懸けの復讐をしようと思います〜その後待っていたのは溺愛でした〜
懲りないイリナ
「なるほど……バカではなくクズだったか……そちらがその気なら、私も遠慮なく動けるというもの。手を出すとどうなるのかの見せしめになってもらおうか。ふふふ……思いしるがいい! ──っ⁉︎ 」
「カイル? どうしたの? 誰かと話しているの? さっきからノックをしているのに、返事がないものだから……勝手に開けてしまってごめんなさい。また後から来るわね」
「ユ、ユリア⁉︎ ち、ちがうのです……ちょっとした……そ、そう、研究をしていたのですよ。このままここにいてください! もう終わりましたから! 」
執務机の上にある水晶に手をかざし、ぶつぶつと呟いていたカイル。立ち去ろうとしたユリアを引き止めようと、血相を変えて駆けつけると背後から抱きしめる。
「ちょっと、カイル、びっくりするじゃない。あの水晶で何かの研究をしているの?」
ぎゅうっと更に強く抱きしめられて、私の肩に顔を埋めているカイル。
首筋に柔らかな感触がする。カイルの唇が無意識にあたっているのかしら。
なんだか、段々と痛みを感じているような……?
「カ、カイル! ちょっと、ダメ、跡がついたら困るわ。やっとデコルテの開いたドレスを着られるようになったのに……」
あぁ、これはきっとまたくっきりと跡がついてしまったわ。また首元まで隠れるドレスに着替えないと……。
「ユリア、着替える必要はありませんよ。恥ずかしがる必要はありません、私しかみないのですから。心配しなくてもここには誰も訪れませんよ。ユリアを誰の目にも触れさせるものですか。それとも、どこかに出かけたいのですか? 何か足りなかったでしょうか? 何か欲しいものがあれば私が手配しておきますから」
確かに、ここに暮らし始めてから、カイル以外と会ったことはない。部屋は清潔だし、食事や入浴の準備もされている。
着替えは一人でもできるようになったけれど、ほとんどカイルが全ての世話をしてくれる。
魔法で全て……? うーん、色々謎だけれど、不自由はしていないしとても充実している。
今までは次期王妃となるべく、一日のスケジュールが王妃教育のカリキュラムでビッシリだった。 授業のない時には、お茶会という名目の交流会やら、夜会での諸外国の要人の接待やら、レオナルド殿下の代理のような真似をさせられていたわね。
おかげで窮屈なコルセットが苦しくないくらいに痩せてしまったわ。
国王陛下でさえ気付いたのに、父も、レオナルド殿下も、無関心だったわね。
カイルは、あの時も心配してくれたわね。
でも、今とは違ってどこかよそよそしくて……。私の立場を考えて、適度な距離を
保ってくれていたのよね。なのに、私は、カイルの気持ちも、自分の気持ちにも嘘をついて、心に蓋をしていた。
家のため、国のため、個人の感情は捨てるべきだと、仕方のないことだと。
あのままの状態が続いていたら、きっと私の心は壊れていた。
きっと、都合のいい次期王妃として、仕事だけを回されたでしょうね。そして、イリナは表向きは第三王子妃として、実際はレオナルドとべったりと関係を続けたでしょうね。
そんな二人に心を乱されて、どうすることもできなかった私は本当に未熟だったわ。
あれで良かったのよ。
国王陛下や王妃殿下にはご迷惑をかけてしまったけれど、こんな未熟な私はいないほうがいいわ。
「──カイルのいない世界なんて、考えられない……」
もう、カイルなしでは生きていけないわ。
私の中で、カイルの存在がこんなにも大きくなっていたんだわ。
やだ、思わず口に出ていたかしら……?
「ユリア……(許してください)」
いつものように「ユリア、嬉しいことを言ってくれますね。私を煽っているのですか?」と言われて抱き抱えられてベッドに連れていかれると思った。
いいえ、そうして欲しいと期待していたのね。
けれど、カイルは大切な仕事があると早急に出かけて行った。
しばらく戻れないかもしれませんが、この邸の中にいる限り安全だと。
どうしても出かけたい時には、カイルに贈られた指輪をつけたまま行くこと。
まるで子供を心配する母親のような口調だった。
なんだかくすぐったくて、嬉しくて、つい微笑みながら見送りの挨拶の口づけを交わす。
カイル……?
抱きしめられて、深く口づけを交わし、いつもと同じ動作なのに、妙に胸がざわつく。
「行ってきます。ユリア」
そう言って立ち去るカイルの姿が見えなくなると、余計に心細くなる。
なんだかカイルの様子がいつもと違ったわ。
少し手が震えていた。
カイルの瞳が揺れていたのは、どうして……?
それからしばらくカイルの不在の日々が続く。
カイルの行き先や、連絡手段を聞いておけばよかったわ
カイル……早く帰ってきて……
「カイル? どうしたの? 誰かと話しているの? さっきからノックをしているのに、返事がないものだから……勝手に開けてしまってごめんなさい。また後から来るわね」
「ユ、ユリア⁉︎ ち、ちがうのです……ちょっとした……そ、そう、研究をしていたのですよ。このままここにいてください! もう終わりましたから! 」
執務机の上にある水晶に手をかざし、ぶつぶつと呟いていたカイル。立ち去ろうとしたユリアを引き止めようと、血相を変えて駆けつけると背後から抱きしめる。
「ちょっと、カイル、びっくりするじゃない。あの水晶で何かの研究をしているの?」
ぎゅうっと更に強く抱きしめられて、私の肩に顔を埋めているカイル。
首筋に柔らかな感触がする。カイルの唇が無意識にあたっているのかしら。
なんだか、段々と痛みを感じているような……?
「カ、カイル! ちょっと、ダメ、跡がついたら困るわ。やっとデコルテの開いたドレスを着られるようになったのに……」
あぁ、これはきっとまたくっきりと跡がついてしまったわ。また首元まで隠れるドレスに着替えないと……。
「ユリア、着替える必要はありませんよ。恥ずかしがる必要はありません、私しかみないのですから。心配しなくてもここには誰も訪れませんよ。ユリアを誰の目にも触れさせるものですか。それとも、どこかに出かけたいのですか? 何か足りなかったでしょうか? 何か欲しいものがあれば私が手配しておきますから」
確かに、ここに暮らし始めてから、カイル以外と会ったことはない。部屋は清潔だし、食事や入浴の準備もされている。
着替えは一人でもできるようになったけれど、ほとんどカイルが全ての世話をしてくれる。
魔法で全て……? うーん、色々謎だけれど、不自由はしていないしとても充実している。
今までは次期王妃となるべく、一日のスケジュールが王妃教育のカリキュラムでビッシリだった。 授業のない時には、お茶会という名目の交流会やら、夜会での諸外国の要人の接待やら、レオナルド殿下の代理のような真似をさせられていたわね。
おかげで窮屈なコルセットが苦しくないくらいに痩せてしまったわ。
国王陛下でさえ気付いたのに、父も、レオナルド殿下も、無関心だったわね。
カイルは、あの時も心配してくれたわね。
でも、今とは違ってどこかよそよそしくて……。私の立場を考えて、適度な距離を
保ってくれていたのよね。なのに、私は、カイルの気持ちも、自分の気持ちにも嘘をついて、心に蓋をしていた。
家のため、国のため、個人の感情は捨てるべきだと、仕方のないことだと。
あのままの状態が続いていたら、きっと私の心は壊れていた。
きっと、都合のいい次期王妃として、仕事だけを回されたでしょうね。そして、イリナは表向きは第三王子妃として、実際はレオナルドとべったりと関係を続けたでしょうね。
そんな二人に心を乱されて、どうすることもできなかった私は本当に未熟だったわ。
あれで良かったのよ。
国王陛下や王妃殿下にはご迷惑をかけてしまったけれど、こんな未熟な私はいないほうがいいわ。
「──カイルのいない世界なんて、考えられない……」
もう、カイルなしでは生きていけないわ。
私の中で、カイルの存在がこんなにも大きくなっていたんだわ。
やだ、思わず口に出ていたかしら……?
「ユリア……(許してください)」
いつものように「ユリア、嬉しいことを言ってくれますね。私を煽っているのですか?」と言われて抱き抱えられてベッドに連れていかれると思った。
いいえ、そうして欲しいと期待していたのね。
けれど、カイルは大切な仕事があると早急に出かけて行った。
しばらく戻れないかもしれませんが、この邸の中にいる限り安全だと。
どうしても出かけたい時には、カイルに贈られた指輪をつけたまま行くこと。
まるで子供を心配する母親のような口調だった。
なんだかくすぐったくて、嬉しくて、つい微笑みながら見送りの挨拶の口づけを交わす。
カイル……?
抱きしめられて、深く口づけを交わし、いつもと同じ動作なのに、妙に胸がざわつく。
「行ってきます。ユリア」
そう言って立ち去るカイルの姿が見えなくなると、余計に心細くなる。
なんだかカイルの様子がいつもと違ったわ。
少し手が震えていた。
カイルの瞳が揺れていたのは、どうして……?
それからしばらくカイルの不在の日々が続く。
カイルの行き先や、連絡手段を聞いておけばよかったわ
カイル……早く帰ってきて……