婚約者を寝取った妹と浮気した婚約者に命懸けの復讐をしようと思います〜その後待っていたのは溺愛でした〜
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「あのー、どなたかいらっしゃいませんかー? お手紙でーす! こちらにユリア様はいらっしゃいますでしょうかー? あのー?」


バルコニーで、寂しさを紛らわすように読書をしていたユリアは、階下からの声に顔を上げる。


誰かしら? 

ここにはだれも訪れることはないとカイルは言っていたけれど、おかしいわね。

不思議に思いながらも、本をテーブルに伏せると、階下へと急ぐ。

扉越しに声をかけると、ユリア宛の手紙を届けにきたという。


扉の下から手紙を差し入れてもらうと、急いで手紙に目を通す。

「ユリア、ここで待っている──カイル」

カイルからの手紙だわ。

歪な文字だけれど、筆跡はカイルだと思う。急いで書いたのかもしれない。
何かあったのかしら?

「あのー、お手紙読まれましたか?」


「きゃっ! あ、あの、この手紙をカイルから預かったのでしょうか? 」


手紙を置いて帰ったと思っていた人物の声に、思わず驚く。

「カイル様とおっしるかは分かりません。名前聞かなかったもので。
ただ、私はこの手紙をユリア様に渡すように頼まれまして、それで、その、ユリア様の案内も頼まれています。代金も、えらく奮発してくれまして、馬車を待たせていますが、どうされますか?」


え……?

扉の穴から、こっそりと外の様子を窺う。

扉の前には素朴な容姿の男性が立っている。

カイルがこんな伝言を頼むかしら?

「あの、あなたに手紙を預けた人の髪色は覚えていますか?」


「髪色ですか? えぇ、はい、銀髪でした。男性なのに思わず見惚れるような色男でした」

カイルだわ!

「あの、この手紙に書いてある場所まで案内お願いできますか?」

「えぇ、はい、もちろんですとも! ささ、早く、お待ちですので、足元に気をつけて、こちらの馬車です」

勢いよく扉を開けて、男性と共に馬車に乗り込んだ。

日差しがまぶしいわ
久しぶりに出かけることになったのに、その相手がカイルではなく見知らぬ人となんて、変な気分。

警戒していたのが申し訳ないくらいだった。呆気なく目的の場所に案内されて、何事もなく別れた。


「カイル?」

案内された場所は大きな広場だった。

色とりどりの花が綺麗に咲いており、デートを楽しんでいる人達もいる。

何度か呼びかけてはみたものの、カイルの姿は見当たらない。

あれは!

視界の隅に光を感じたので顔を向けると、男性の姿が見えた。輝くような銀色の髪、
あの後姿はカイルだわ!
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