残念ハイスペ女子なんて 言うな

補足 1

 

あの公園での出来事以来フミアキは引っ越しの準備だなんだで忙しそうだった
わたしも部活があったりでお互いの時間が合うことがないままクリスマスも過ぎてった
ラインでのやり取りこそしてたけど正直不安だった
このまま会うこともなく引っ越してっちゃうんじゃないか、って
それでもわたしは満足だと自分に言い聞かせるようにしてた

 もう今日も終わっちゃう…夜自分の机に肘をついてボーっとしてた ボーっとしてるように見えて今までを思い返してた なんかしようにも手につかない状態だった 

「どした? ネオン?」 カノンが心配そうに声をかけてくれる

「彼氏のことか? もう時間ないんだろ?」

カノンにはいろいろ打ち明けてた だからフミアキが引っ越すことも知ってる キスのことは言ってないけど

「ネオンさ、お互いのやることやって相手の負担にならないようにしようって言ってたのはわかるけどさ、ホントにそれでいいんか?」

うっ…痛いところをついてくる…

「あんまさいい子ちゃんぶんな?」

「そんなんじゃないし。わたし成長してるからさ、カノンより大人だから ちゃんと相手の気持ちや状況も理解して言ってんの 二人で話して決めてんの」

「ふーん いい子ちゃんぶんのが大人だって言うんなら 大人ってつまんねーの」

……なんか、なんか無性に腹が立った カノンじゃなく自分に…

「いい子ちゃんじゃないからっ!!!」

「!!!」

急に大きい声を出したわたしにカノンがびっくりする

「へぇー、ネオンらしくなってきたじゃん」

そう言ってカノンは満足気に自分のベッドに寝転んでタブレットをいじりだした

わたしは今の自分の気持ちに対してなにをしたらいいのかわかんなかった わかんなくて自分の想いに任せてた
そしたらフミアキにライン送ってた

『とにかく会いたいから… 後二日しか時間ないじゃん」

すぐに既読が着く

ーピコピコー

「明日遊ぼ? 朝から! こっちはほぼ片づいたし」

フミアキからの返事にわたしはニヤニヤが隠せなかった どんな顔になってるか自分でも見たくなって卓上ミラーを手にとってみたくらい

「キモッ」わたしの様子を見たカノンがケラケラ笑う
 さすがにその意見には同意するしかなかった

『うん! 遊ぶ! 予定だけでもラインで教えてね』

わたしはそう返事をすると居ても立ってもいられなくなってた

「ねぇ カノン明日出かけることになったから服選んでよー あんたにも責任あるでしょ〜」

わたしは甘えた声を出してカノンに助けを仰ぐ

「知らんし! そんなこといちいち妹に聞くな!」

まぁこういう返事がくることはわかってたけどね

「これとこれとこれでも着とけ そんだけでもネオンは充分映えるわ!!」

言ってることとやってることは正反対なんだから…
かわいい妹だ

「恩にきます!! カノン ありがと」

こんなきっかけでもなかったらわたしは動かなかったんだろうか… そう考えると少し怖かった
あのままなんもかんもわかったフリして『いい子ちゃん』だったら…もしかしてもうフミアキには会えなかったのかもしれないのに…




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