四神の国の白虎さま
白虎と薬師
その日の夜、もう十年以上は変わらない西の街を散策しているとチリン、と聞き覚えのある音が聞こえて俺は足を止めた。
普段は鳴らない、耳飾りに付いた鈴が鳴った音。怪異が現れた合図だ。
怪異。人の目には見えず、人に害を成す存在。それを倒し、人々を守るのが俺ら四神の役目。
その怪異が、フォルスティア全体に張られた探知用結界の範囲内に現れたら、耳飾りに付いた鈴が鳴る仕組みになっている。
怪異の活動時間は、主に夜。怪異が出るのは、毎日じゃないけど。
「……」
地面を蹴って、近くの家の屋根の上に飛び乗った。屋根の上に立って、辺りを見渡す。
怪異の放つ独特な気配を、西の街郊外から微かに感じて、俺は俺だけしか使えない「白虎の力」を使って空へと浮かび上がった。
俺は、四神や神の従者が扱える術の他に風を操る力を持つ。
その力によって起こった風に乗って、俺は怪異のいるであろう場所へと向かう。
怪異の気配のある近くに着地して、そこからは走って向かった。こっちの方が、速いし対処もしやすいから。
走って、怪異の気配のする森の中へと入る。
走っていると大きな怪異が男の子を襲おうとしているのが見えて、俺はスピードを上げると素早く怪異と距離を詰めると怪異を蹴り飛ばした。