四神の国の白虎さま
翌日。西の街に降りた俺は紫陽と合流した後、紫陽の家へと向かう。
西の街の東端、街から少し離れた所に建てられた小さな建物の前で、紫陽は立ち止まる。
扉の上には「薬屋」という看板が掲げられていた。
「ここが、僕の家……兼僕らの営む薬屋です。店の裏が家になっているって感じですね……」
薬屋の扉を開けて、紫陽は中に入る。紫陽に促されて、俺も中に入った。
棚には、小瓶に入った、たくさんの液体状の薬が並べられている。
この世界の薬は、すべて液体状。一時期暮らしていた異世界にある錠剤とか粉薬とかはないんだよね。
「紫陽、おかえり」
薬屋の中を見ていると、そんな声がして俺は声がした方を見た。
勘定台と向き合うように座っていた黒髪に桃色の瞳の男性が、紫陽を見つめている。
「ただいま、心晴。店番ありがとうね」
「ううん。大丈夫だよ……僕、薬草の採取に行ってくるね」
「分かった。暗くなる前には、帰ってくるんだよ?」
「分かってるよ。行ってきます」
そう言って、心晴と呼ばれた男性は店を出ていった。
「……彼が、僕の双子の弟の心晴です。先代白虎様としての記憶もなければ、四神や怪異を見ることの出来ない一般人です」
心晴がいなくなった後、扉を閉めながら紫陽は言う。