主人公の座、返してもらいます!〜私が本物の主人公だったらしいので華麗に人生を取り返してみせようと思います〜
重く沈んだ鐘の音が、朝霧の残る王都の空に響いた。

王宮の中庭には、葬送の装飾が施され、紫を基調とした花々が静かに風に揺れている。列席者たちは整然と並び、それぞれの喪服に身を包んで厳粛な雰囲気を保っていた。

ただそこに立つだけで、私は自然と背筋が伸びた。

お母様の名誉を取り戻すため、自身の立場を確立するため、今は揺るがぬ意志が私を支えていた。

荘厳な音楽が流れる中、参列者たちは次々と所定の位置に並んでいく。その一角に、静かに入場してきた一団がいた。

神聖国ペルペトゥス教皇、ペルフェクティオ・デウス・ペルペトゥス聖下。

純白の髪を緩やかに結い上げたその姿は、神の加護を受けし存在としての威厳を確かにまとっていた。

この世で最も高貴とされる紫の瞳はまっすぐに前を見据え、無駄な感情は一切見せない。だが、その表情はどこか哀しみに沈んでいるようにも見えた。

私の視線が一瞬だけ、聖下と交錯した。

けれどその目は、まるで私という存在を認識していないかのように、空を透かして通り過ぎた。

心の奥に刺さるような痛みを感じながらも、私は顔色一つ変えなかった。

(大丈夫。私が今やるべきなのはお母様の葬儀を滞りなく行うこと)

もはや迷いはなかった。聖下の血を引いていようと、今自分はフォルトゥナの娘としてここに立っているのだ。

鐘の音が三度、空に鳴り響いた。
< 31 / 89 >

この作品をシェア

pagetop