主人公の座、返してもらいます!〜私が本物の主人公だったらしいので華麗に人生を取り返してみせようと思います〜
ゆっくりと、棺が霊廟の奥へと運ばれていく。

その動きとともに、王宮に流れる音楽は徐々に哀しみから祈りへと転じていった。

フォルトゥナの魂が王家の守護として還るようにと——。

霊廟に棺が納められると、場の空気はさらに引き締まり、告別の儀が始まった。

場内に集う参列者たちは静かに頭を垂れ、各国から届いた弔電や献花が一つ一つ読み上げられていく。

その荘厳な儀式の中央に立つのは、神聖国ペルペトゥス教皇――ペルフェクティオ・デウス・ペルペトゥス聖下だった。

白銀の祭服に身を包み、白い髪を揺らしながらも、その姿には威厳と神性が宿っていた。

紫の瞳がゆるやかに壇上から人々を見渡す中、聖下は穏やかな声で祈りを捧げ始めた。

「……フォルトゥナ・ノクス・アドラティオの魂が、神の御許に迎えられ、永遠なる静寂の中で安らがんことを。
彼女が歩んだ道、背負った悲しみ、捧げた祈りは、やがてこの世界に光をもたらし、ひとつの導きとなるでしょう……」

聖下の言葉は静かで、けれど不思議と心の奥に響くものがあった。

私はその声に、どこか懐かしさを覚えた。声だけでなく、所作の一つ一つが、血の繋がりを証明しているようで。

彼が私の、父――

そんな確信が喉の奥にまでこみ上げた時、ふと聖下の視線が壇上から動き、列席者たちの中にいる私を捉えた。

ほんの一瞬だった。だが、その一瞬で私は心臓を握られたような気がした。
< 33 / 89 >

この作品をシェア

pagetop