主人公の座、返してもらいます!〜私が本物の主人公だったらしいので華麗に人生を取り返してみせようと思います〜
***

……見ていられなかった。

廃教会の片隅、冷えた石の上に座って、俺は二人をじっと見ていた。
ラエティティアと、金色の髪の少年――ユーリ。

そいつが彼女の隣に立って話す様子は、どうしようもないくらい自然だった。
呼吸の仕方も、目の動きも、声の距離感も。
まるで、ずっと前からそこに立っていたみたいだった。

(……やめろ)

胸の奥が焼けるように熱い。なのに、手足は冷たい。

なんで、あんな目で見つめるんだ。
なんで、あんな声で名前を呼ぶんだ。

「エクエス」って、初めて呼んでくれたあの人が――
今はもう、別の誰かにすべてを向けているようで、たまらなかった。

拾われたばかりで、何も知らない。
彼女がどんな過去を抱えていて、そいつと何を共有しているのかも、俺は知らない。
知らされてすらいない。

けど、わかる。

彼女が俺にくれた“居場所”が、今、足元から崩れていくような感覚。
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