主人公の座、返してもらいます!〜私が本物の主人公だったらしいので華麗に人生を取り返してみせようと思います〜
思わず名前を呼んだ。
それだけで彼の肩が震えるのが見えた。

なのに、目は逸らさない。
そのまま真っ直ぐに私のもとへ来て、止まった。

ユーリは静かに彼を見つめていた。何も言わず、ただ――じっと。

このままでは、よくない。

「……今日は、ここまでにしましょう」

私はそう言って、ゆっくりと立ち上がる。

「おい、待てよ。まだ話は――」
「まだ、時間はあります。続きはまた今度に」

ユーリが何か言いかけたが、私の視線を受け止めると、不機嫌そうに肩をすくめた。

「……分かった」

私は静かに頭を下げ、エクエスの手を取った。

冷たかった。だけど、その手は強く、確かに私を求めていた。

「帰ろう、エクエス」

小さく頷いた彼と共に、私は教会をあとにした。

色褪せたステンドグラスを抜けた月光が、私たちの背を照らしていた。

その光の中、ユーリの視線がいつまでも追いかけてきた気がして――私は、振り返らなかった。
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