主人公の座、返してもらいます!〜私が本物の主人公だったらしいので華麗に人生を取り返してみせようと思います〜
二人が振り向けば、ラエティティアが執務机の前から顔を上げていた。膝の上に開いた書簡をそのままに、目元に笑みを浮かべている。

「ここ、私の部屋ですから。喧嘩するなら外でお願いします」
「ラティ、俺が悪いんじゃない。こいつが最初に――」
「ユーリ」
「……はい」

ぴたりと黙る。

「エクエス」
「……申し訳ありません、ラティ様」
「ふふ……」

ラエティティアは楽しげに微笑んだ。

「二人とも、随分仲良くなったんですね」
「なってねえ」
「なってません」

ユニゾンで返されて、ラエティティアは目を細める。けれど、呆れているわけではない。どこか、嬉しそうですらあった。

「でも、言い合いができるくらいには、少しずつ距離が近づいてきた証拠です。……私は、そういうの、好きですよ」

二人は顔を見合わせて、わずかに視線を逸らした。

「……ラティ様がそう仰るなら」
「仕方ないな……今回は許すか」
「誰に口聞いてるんですか、ユリエンス様」
「その口、前より悪くなってないか?」

ラエティティアの部屋には、静かな王宮には似合わない、にぎやかで温かい空気が流れていた。
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