呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!

「何か掛けるものを持ってきて頂けますか?」
「ええ、ただ今。それからこちらにお茶と、眠っている間お暇でしょうから、本も何冊か置いておきますね」
「ありがとうございます」

 そうして1時間ほどぐっすり眠ったエスティリオは目覚めると、ラシェルにとんでもない提案をしてきた。

「エスティリオ、今なんて……」
「カレバメリア帝国に国賓として招待されているんだ。エルも一緒に行こう」
「一緒にって……だって……」
「エルには世話係として付いてきてもらうから」

 突然の話についていけない。
 まだ魔毒蟲はラシェルの体の中にいるのに、帝国へ行くなんて。

「滞在は一週間を予定しているから。その間、研究所の薬草畑の管理を任せられるように準備しておいて。必要なら魔法薬部の他の人を使ってくれてもいいし」
「滞在は一週間って、皇宮までの移動も考えたら……」

 魔塔からカレバメリア帝国皇帝のいる宮まで、馬車で片道数週間はかかる。となると合計でひと月以上、研究所を空けることになる。頭の中で計算をするラシェルに、エスティリオはくすりと笑った。

「やだなぁ。馬車なんて使わないよ。腰痛くなるし、時間の無駄だし」
「あ……」
「連れて行く魔道士は皆、転移魔法使えるから。もちろんエルは俺がちゃんと連れて行ってあげるよ。だから研究所を空けるのはきっかり一週間」
「そう……そうよね」

 魔塔にいる魔道士達を常人と同じに考えてはいけない。難易度が高いとされる転移魔法や治癒魔法も使える人が大半を占めるのだから。
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