呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!
「皇太子よ」
「はい、陛下」
「ベクレル殿と面識があるお前が、皇宮を案内して差しあげなさい」
「喜んで」
「それならば陛下、庭園の案内はリリアンヌにさせてみてはいかがでしょう。花のことは皇太子には分からないでしょうから」
第2皇妃が皇太子の母、第1皇妃をちらりと見て皇帝に提案している。これに皇帝も「そうだな」頷き声をかけた。
「堅苦しい話ばかりで飽きてしまうといけない。リリアンヌ」
「はい、お父様」
皇子と皇女が並ぶ中から、一人の若い女性が進み出てきた。エスティリオよりも幾分、年下のように見える。フリルがたっぷりとあしらわれたドレスの胸元には、宝石がキラキラと輝いている。
「末娘で第6皇女のリリアンヌだ。他の娘達は嫁いでいったが、この子は今、帝国内にあるアカデミーに通っているんだ。天真爛漫な子だから、ベクレル殿もきっと退屈しないであろうよ」
「あらお父様! 天真爛漫と言うのは褒め言葉でして?」
「もちろんだよ。純真で可愛いという意味さ」
皇帝の溺愛ぶりが伺える。
いかにも甘やかされて育った感じのするリリアンヌは、無邪気な笑顔をエスティリオに向けてきた。
「後日、御案内させていただきますね」
「……よろしく」
いきなりの馴れ馴れしい態度。
誰も咎めないのかと周りを見るが、いつもこの調子なのだろう。皇帝と第2皇妃はデレデレだし、他の皇妃は失敗すればいいと思っているので、素知らぬ顔をして何も言わない。
面倒くさそうな子だな。
リリアンヌに対するエスティリオの感想などお構い無しに、庭園散策が決まってしまったのだった。