呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!
一際大きく豪奢な扉が開けられると、その最奥、数段上がった場所に皇帝はいた。そのすぐ側には妃が何人かと、横には皇子や皇女といった皇族が並んでいる。
付いてきたアルノートを含む従者は膝を折ったが、エスティリオ自身は跪く必要は無い。
皇帝と魔塔主は、あくまで対等。
「我が帝国へよくぞいらして下さった、エスティリオ・アルマン・ベクレル魔塔主殿」
「この度はお招き頂き感謝致します。ゴーティエ皇帝陛下」
本人が言っていたように、確かにラシェルは父親似のようだ。ミルクティー色のやや癖のある髪と凛とした顔立ち。今年で60歳になるとのとこだが、まだまだ男盛りといった言葉が良く合いそうな佇まいをしている。
「いつもなら、長旅でお疲れでしょうと労うところなのですが、流石は若くして魔塔主になられた御方だ。聞くところによると、魔塔からここまで転移魔法を使って一息に来られたとか。宮廷の魔道士達も驚いておりましたよ」
「周知の通り、私は宿屋を営むごく普通の家の出。魔法の腕だけで成り上がった者でございます。ご不快に感じる点も多々あるかと思いますが、大国を束ねる皇帝陛下には是非、ご教授願えれば幸いでございます」
「うむ。就任式へ出席した皇太子から話は聞いていたが、魔法の腕だけではなく、きっちり分別を弁えた方と見た。なあ、皇妃達よ」
皇帝が皇妃達の方を向き話し掛けると、一様に頷き返している。
「ええ、外見だけではなく中も素敵な御方ですわ」
「是非皇子や皇女達とも、親交を深めていって欲しいものです」
「はっはっは、さっそく皇妃達の心を奪ってしまったようだな」
「恐縮でございます。陛下の美しい令夫人達の紹介をお願いしても宜しいでしょうか?」
皇妃達が快く自己紹介をしてくれた。
カレバメリア帝国の皇妃は通常3人。
その内、ラシェルの母は既に亡くなっているので、新たな第3皇妃となった別の女性が、前第3皇妃の話には全く触れずに自己紹介していた。