呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!
午後に入り昼食を食べ終えたタイミングで、第6皇女のリリアンヌが「お迎えに参りました」と言ってやって来た。
「庭園をご案内しますわ」
帝国の庭園とだけあって抜かりはない。綺麗に刈り込まれた木々と、四季折々の草花。噴水やガゼボが所々に置かれ、庭園に華を添えている。
別に2人きりになどしてくれなくても良いのに、従者達は気を使って相当な距離を取ってついてくるものいい迷惑だ。
ラシェルの妹だから。我慢だ我慢。
例え殆ど会ったことのない兄弟だとしても、大切にしてしまうのがラシェルという人。
妹が邪険に扱われたりしたら悲しむだろう。
くっ付いて歩かれるのも、馴れ馴れしくファーストネームで呼んでくるのも不快だが仕方がない。
ひたすら『我慢』を自分の肝に銘じ、庭園を散策している。
庭園の案内と言っても、リリアンヌはあまり用を成していない。草花にも枝葉にとまる野鳥にも興味のない様子の彼女は先程からずっと、ベラベラと自分の話しをしている。
「エスティリオ様は今年で22歳になるって聞きました。私とは5つ違いで調度良いですね」
一体何が調度良いんだ?
素っ気なくならないよう気を配りながら、会話を返した。
「5つ違いということは、今5年生?」
「そうですぅ! あと2年もすれば成人するのに私、まだ婚約もしていなくって」
「大国の皇女となると、相手探しも大変そうだね」
「ええ本当に。アカデミーで良い方と巡り会えたら……なーんて入学したんですけど、なかなか上手くはいかないものですね。でもお父様が良い機会を作ってくださいましたわ」
うふふっ、と肩を竦めて上目遣いに見てくるが、鳥肌が立つからやめて欲しい。
整った顔立ちをした皇帝の娘とだけあって確かに愛らしい見た目なのだが、エスティリオとしてはキャピキャピとしたテンションについていけない。
もしかしたら自分は異性に甘えたい派で、甘えられるのとか無理なのか? という考えが一瞬過ったが、それは無いなとすぐに打ち消した。
ラシェルに甘えられたら、それだけできっと悶絶してしまう。むしろもっと甘えてきて欲しくなるだろう。普段がしっかりしている人なだけに尚更。