呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!
「魔塔主夫人って大変そうですよね。王族や貴族に嫁ぐと言うのともまた違うし。魔法はやっぱり上手くないとダメなのかしら?」
「それは全く関係ない」
ラシェルの事を頭に思い浮かべながらキッパリと断言したエスティリオだったが、リリアンヌは別の意味で捉えた。「良かったぁ」と言ってわざとらしく胸をなで下ろしている。
「あー……他の皇女達はみんなもう、ご結婚されているんだっけ?」
「そうなのよ。一番上のお姉様はアイラル王国の王太子と、二番目のお姉様はサージョレン公爵でしょ、それから……」
それぞれ誰と結婚したか説明をしてくれるリリアンヌ。四番目までくると、終えてしまった。
「君は第6皇女でしょ? 5番目の皇女は?」
試しに聞いてみると、今思い出したかのように「ああ」と声を漏らした。
「5番目のお姉様は何年か前にお亡くなりになったのよ。と言っても会ったことなんてないからよく知らないのだけど。お体が弱かったらしいわ」
「そう……」
兄弟が亡くなったというのに特に悲しむ様子もなく平然と言われて、何だかこちらが悲しくなってくる。
君にはあんなに素敵なお姉さんがいるのに! と力説してしまいたい。
「そんな事よりも……エスティリオ様、せっかくだから魔法教えて下さい!」
「え」
何言ってるんだ、この子は。
言葉を失うエスティリオに、リリアンヌは猫なで声で甘えてくる。
「私、実技の授業があまり芳しくないんですぅ。魔塔主様直々に教えて下さればなぁ、なんて」
バスティエンヌおばあちゃんなら一喝してるな、これは。
決死の覚悟で弟子入りの申し込みでもするならまだしも、魔塔主にちょっと魔法の使い方を教えてなんて、図々しいにも程がある。
自分がその辺のメイドに、お茶の入れ方を教えて下さいなんて言われたら、さぞ怒るだろうに。