呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!

19. 窓から見えた景色


 刺繍をしていた手を止めて、ラシェルは窓の外の景色を眺めた。
 離宮から出ないようにと言われたのまではいいとして、魔塔主の世話係として付いてきたはずなのに、仕事を全くさせて貰えない。
 ただ部屋でのんびりと過ごしていればいいと、食事やお茶、それから暇つぶしの為の道具や本を、アルノートが持ってきてくれるのだ。

 非常に申し訳なく思いつつも、今はエスティリオに従うしかない。ラシェルが気を利かせたつもりで何かすれば、彼の計画に支障が出てしまうかもしれないのだから。

「あれは……エスティリオ?」

 窓からは美しく整えられた庭園がよく見える。特に今日はよく晴れて日差しが気持ちよさそうな天気なので、エスティリオは庭園を誰かに案内してもらっているようだ。
 案内しているのは誰だろうと目を凝らして見るが、遠すぎてそこまでしっかりとは見えない。
 ただ着ている服や雰囲気、そして遠くに従者が控えていることから、身分の高い女性であることは間違いない。
 皇宮内の庭園を案内するくらいだからきっと、王妃か皇女か……。
 普通に考えたら皇女よね、きっと。
 ラシェルの知っている範囲では、自分より下の皇女はリリアンヌのひとりだけ。
 ドレスの色使いやデザインから自分よりもずっと年下そうに見えるので、恐らくあれはリリアンヌだ。

 2人並んで噴水の辺りまでやって来たかと思うと、身体を近くに寄せ合っている。

 ダメよ盗み見なんて。悪趣味だわ。

 窓際から体を離して刺繍を再開するが、なかなか針が進まない。
 
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