呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!

 エスティリオは以前、エルがラシェルだとずっと知っていた。これまでの言葉も態度もラシェルに向けてのもので、好きだとも言ってくれたけれど、エスティリオとラシェルの関係は、実際のところよく分からない。
 お付き合いしましょうなんて話にはなっていないし、ましてや将来何かを約束した訳でもない。
 まだ同じアカデミーを卒業した、先輩と後輩の間柄と見るべきかどうか……。
 
 いけないと分かっていて、どうしても気になってしまう。
 もう一度立ち上がり外を見ると、目に飛び込んできたのは、エスティリオが女性の手を取って何かをしているところだった。

「魔法の練習、かしら……」

 チクリと胸に痛みが走る。 
 エスティリオから魔法を教えて貰うなんて、魔力の無い自分には決してして貰えない。
 エスティリオがどんな表情をしているのかまでは見えない。
 ただ女性の方はぴょんぴょん飛び跳ねたり、エスティリオに抱きついたりと、見るからに楽しそうだ。

 リリアンヌは確か、ラシェルよりも十歳年下。エスティリオもリリアンヌも、結婚を考える年頃。
 自分が親の立場ならば、娘を魔塔主と、と考えるのが普通だろう。魔塔主側からしても、皇室側からしても、互いにこれ以上申し分のない相手だ。
 一方ラシェルは父親に見放され、死んだものとされた元皇女の身で、今は行き遅れたただの一般女性。
 自分とは比べようもなくお似合いな二人を、ラシェルはただ窓から見つめることしか出来ない。
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