呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!
「ベクレル殿、楽しんでおりますかな?」
皇帝が第1皇妃を伴いやって来た。近くには宮廷魔道士のブリアンもいる。彼は皇宮に到着した際、エスティリオを出迎え案内してくれた魔道士で、皇帝から最も信頼されているようだ。常に皇帝のそばに居る。
「まあまあですね。ここに第5皇女殿下がいらっしゃれば良かったのにと、考えていたところです」
わざとらしく物憂げな顔をして言った。
笑みを浮かべていた皇帝の顔に、すっと険が宿る。
「第5皇女? なぜ既に亡くなった者の事を? いや、それよりもベクレル殿は第5皇女と面識がおありで?」
「ありますよ。学友でしたから。アカデミーを去る前に教えて頂きました」
皇帝からギリっと歯噛みする音が聞こえてきそうだ。
第1皇妃は何も知らないらしく、不思議そうな顔をしている。
「どういう事ですか。第5皇女がアカデミーに?」
アカデミーに通っていたことすら極秘だった。病弱で宮から一歩も出られないという設定だったから。
「お亡くなりになったというのは本当でしょうか」
「何を言いたいのですかな?」
「他者を呪う行為が禁じられていることは、ご存知のはずですよね? 陛下も、ブリアンも」
呪術は禁術だ。
誰かに呪いをかけることは、魔塔側も禁止しているし国際的にも決まっている。
ラシェルに魔法薬を飲んだ時にいた魔道士を覚えているか聞いたところ、エスティリオを出迎えた人で間違いないと言っていた。
蠱毒を作ったのが皇帝なのか、それともブリアンの方なのか。
ほぼ間違いなくブリアンの方だろう。
蠱毒はとある条件から、年若い方がいいから。
アルノートはブリアンと魔塔アカデミーで同窓だったとのことなので、まだ30代前半。60になる皇帝よりもずっと若い。
それにこの皇帝に蠱毒を作れるほどの、魔法の腕前があるとは思えない。蠱毒をつくるにはかなり高度な技術を必要とする。