呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!
 
「ブリアン、残念だよ。君のことはライエ様からも優秀だったと聞かされていたから。まさかその腕前を、誰かを呪うために使うなんてさ」
「魔塔主様は何か誤解されているようです。僕が呪術に手を染めたと仰りたいのですか? ならばそれは間違いです。僕が魔塔の意志に逆らうようなことをするはずが無いでしょう」
「先程から一体何なのです? 何の話をしていらっしゃるのでしょうか?」

 全く訳が分からないと、皇妃が割って入ってきた。周りでも「魔塔主が突然妙なことを言い出した」とザワついている。

「皇妃様でもご存知ないのですね。それでは説明致しましょう。第5皇女が病弱というのも、亡くなったというのも全て嘘です。実際には体が弱いのではなく、ただ魔力が無かったというだけ。俗に言う欠陥品(レモン)。それを恥じた皇帝が彼女を幽閉し閉じ込めたのです」

 周りのざわめきが濃くなった。
 
「皇帝の娘が欠陥品(レモン)だったって?」
「そんな話、初めて聞いたぞ」

 きっと皇帝はこの状況になるのを恐れていたはず。自分の娘に欠陥があると嘲笑されるこの状況を。

「ですが皇女は非常に優秀で聡明な人だった。最難関と言われる魔塔アカデミーの試験に合格し、魔法を使う科目以外で言えば、首席で卒業したのですから。それでも冷遇し続ける皇帝は娘に、残酷な選択をさせたのです。皇宮から出す代わりに、姿を変えさせ、蠱毒を飲ませ、呪いをかけた」

 エスティリオの話しに、シンっと会場内は静まり返っている。
 その沈黙を破ったのは、皇帝の笑い声だった。

「はっはっはっ!! 実に面白い作り話だ。予の娘が魔力無しの欠陥品? 何を馬鹿なことを」
「魔塔アカデミーの学長も、前魔塔主も、彼女の才能に気がついていた。だから魔力が無くても入学を許可したというのに、貴方という人はなんてつまらない人なんでしょう。自分の体面を守るために、皆を騙し、隠していたのですから」
「黙れ!! 魔塔主だからと大人しく聞いていれば、根も葉もないことをツラツラと!」
「そうですよ。私も魔道士としての対面を傷つけられて黙ってはいられません。呪術を使ったという根拠は何処にあるのですか?」 
「ならこれを飲んで、やっていないと宣言してよ」

 エスティリオは懐から小瓶をひとつ取りだした。
< 124 / 133 >

この作品をシェア

pagetop