呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!

「エルって生まれはどこなの?」
「カレバメリア帝国のマステーユ地方で生まれ育ちました」
「へぇ、名前は聞いたことがあるな。染物が有名ではなかったっけ」
「はい、私の家は染料となる植物を栽培しておりました」
「だからそんなに薬草栽培が上手なんだ」

 ラシェルは予め用意しておいた、『エル』という人物の設定で受け答えをしていく。

「なんでまた魔塔へ?」
「私の家は兄弟も多く貧しかったので、成人するかしないかという頃には結婚させて、外へ出したかったようなのですか……魔力無しの娘を欲しがる家庭はなかなか見つからず、縁談話がまとまらなかったのです」
「農民なのに? そこまで魔力は必要ないんじゃない?」
「そうでもありませんよ。明かり一つ灯すのにも魔晶石が必要ですから。料理、洗濯、湯沸し、何をするにも魔力がなければ道具が動きませんもの。魔法は使えなくても、せめて魔力がないと魔晶石代で収入が直ぐに消えてしまいます」

 魔晶石は非常に高価だ。
 魔力を注入するのがその辺に転がる石ならば、まだ少しは価格を押えられるのだろうが、水晶やアクアマリンと言った希少価値の高い石にしか魔力を貯められない。
 魔力を使い切った石にもう一度魔力を注いでもらって何度か繰り返し使用出来るが、徐々に劣化し貯蓄できる量が減ってくる。ほとんど魔力を貯められなくなった石は、新しく購入し直さなければならない。
 農民のような貧しい暮らしでは、魔晶石一つ買うのも相当な出費なのだ。
  
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