呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!
エスティリオからの視線を真正面から受け取ると、もしかしたら心の内側でも読む魔法があるかもしれないと思ってしまう。
そんなはずない。そんな魔法は聞いたことがないもの。大丈夫よ、大丈夫。
自分自身に言い聞かせるが、腹の中では魔毒蟲が蠢いたような気がした。
しばらくラシェルのことを見ていたエスティリオの手が、不意にこちらへ伸びてくる。
何をされるのかと目を瞑りビクンっと肩を震わせたラシェルに、エスティリオは「ごめん」と謝った。
「びっくりさせた? 髪の毛、付いてたから」
「え……あ、ありがとうごいます」
なんだ……髪の毛を取っただけだったのね。
ラシェルの秘密がバレて、なにかされるのでは無いかとビクビクしてしまった。御礼を言われたエスティリオは、ハーブティーの入った袋を手に取った。
「そろそろ行こうかな。あまり仕事をサボっていると、怒られちゃうから」
「はい。お手伝い頂き、ありがとうございました」
エスティリオが出ていった扉がパタンと閉まるのを見届けると、ラシェルは息を吐いてその場に座り込んだ。
もう何時間もたったような気がしたのに、時計の針を見るとまだ、三十分ほどしか経っていなかった。