呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!

 馬の背から荷物を降ろしてやり、「少し休憩していて」と声をかけた。

「さてと、やるわよー!」

 森の中を流れる川まで来たラシェルの目的は、川の中にある。
 マルガロンという水の中に生える珍しい薬草が、今回の調査の一番の目的で、ラシェルは改めて気合を入れた。
 馬に乗るために下にはいていたタイツを脱ぎ、更にスカートの裾をたくし上げて結ぶと、川の中へと入っていく。
 川の中に生えているのでどうしても濡れながらの調査だが、きちんと着替えは用意してきている。濡れながら川底を探り、マルガロンを探した。

「あっ、あったわ。それも結構生えているみたいね」

 マルガロンは丁度開花の時期を迎えていて、スズランのような形の淡いピンク色の花が、水の流れで揺れている。
 採取したものを農場へと持ち帰り、増やせないかと試し始めて3年。これがなかなか上手くいかない。
 大抵はひと月もすれば枯れてしまうので、魔法薬の材料を売る店でもなかなか手に入らない。特に生の状態のマルガロンは貴重な材料となっている。
 乾燥状態でも良ければ川から採取し、乾かしたものでもいいのだが、マルガロンは生の状態で使った方が格段に効果の高い魔法薬が出来るらしいので、農場長にも栽培方法を是が非でも見つけて欲しいと言われている。

「どこに生えているマルガロンも、水深は1mない位みたいね。水温は21℃、川底は……」

 ザブザブと川の中へ入って計測をしたり観察をして、何か栽培のヒントになりそうなことを岸に置いておいた用紙にメモをしていく。
 思いつく限りのことを書き記したラシェルは、記録用紙をカバンに閉まってから着替えを手にした。
 万が一、着替えている途中に誰かが通りかかったりでもしたら、恥ずかしい。
 山道から外れたこんな場所に、人が通る可能性はほとんどないが、念の為、茂みの影に隠れて服を脱ぐ。

「下着までびしょびしょだわ。でも比較的浅瀬にしか生えていないのが救いね」

 本当なら焚き火でもして身体を暖めたいのだが、あまりのんびりしていると日が暮れてしまう。着替えたらすぐに出発しなければと、替えのワンピースに手を伸ばそうとしたところで、人の話し声が聞こえてきた。それも、男性の声だ。
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