呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!
――え?
「早くその手、離してくれない? じゃないと俺、この山1つ吹き飛ばしそうなんだけど」
「はぁ?」
「誰だ、おま……っ!?」
どんな魔法を使ったのかは分からないが、見えない力が加わったように、男4人が後ろに吹き飛ばされていった。投げ捨てられた人形みたいだ。
「エス……ティリオ……?」
驚きと混乱で、その名を呼んでしまったことにラシェルは気が付かない。呼びかけられたエスティリオは着ていたローブを脱いで、かけてくれた。
「ちょっと待っててね。今お仕置してくるから」
魔力を感じられないラシェルでもゾッとした。もし力を目で見ることが出来たなら、漆黒のベールで包まれたように、魔力が彼を覆っていただろう。
「いってぇ……なんだお前は」
「あの女の知り合いか」
吹き飛ばされた山賊達が身体を起こして、体制を整えている。手には抜き身の剣を握り、こちらとの距離を測るようにジリジリと距離を詰めてくる。
「さっきの攻撃、貴様は魔道士だな? なら残念だったな。俺たちの剣には魔法避けが施されている。魔法による攻撃なら効かな――?!」
喋っていた男の脇腹から突き出ているのは剣の先。
そのすぐ後ろには、先程までラシェルの前に立っていたエスティリオがいた。
「魔道士は剣を使わないなんて、誰が言った?」
「いつ……のまに? う゛ぁっ!!」
「お頭ぁ!!?」
背から刺された剣が引き抜かれると、男の傷口からは鮮やかな血が飛び散った。
真っ先にやられてしまった頭に続いて、2人目、3人目が間髪入れずに斬られていく。
あまりにも動きが早すぎて、ラシェルの目には何が起きているのかさっぱり分からない。
バタバタと男たちが血を流しながら倒れていく中で、4人目の男だけはエスティリオの斬撃を剣で受け止めていた。
ガキンっと金属がぶつかり合う激しい音が森に響く。
「これはすげぇや。転移魔法による瞬間的な移動からの斬撃とか、どっかの騎士か?」
男の台詞にそういう事ね、と感心している間に、ラシェルに向かって炎の渦が向かってきていた。