呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!
「きゃあぁぁっ!!」
「あっはっはっ! お前の弱点はあっちの女だろ?」
エスティリオが半端者ではないと悟った男は、狙いを素早くラシェルに変えた。
山賊達の中でも魔法の心得がそれなりにあるようで、まるで蛇のような炎の渦をラシェルに向かって放った。
一瞬にして目の前がオレンジ色に染まり、何も見えない。反射的に身体を丸めて地面に伏せたラシェルは、ぎゅっと目を瞑り、借りたローブに縋った。
…………あ、ら?
焼ける痛みも、熱さすらも感じない。
どうなっているのかと伏せていた顔を上げると、炎はラシェルの周りで燃え盛るばかりで届かない。まるで半球状の殻にでも守られているみたいだ。
「自分の弱点くらい、君に言われなくてもよく分かってるさ。だから予め結界くらいは張っておくでしょ、普通」
片手を地面につけたエスティリオが、呆れた口調で言った。
すると男の真下の地面がボコボコと動き出し、男は蟻地獄にハマった小虫のように地面に飲み込まれてしまった。ラシェルに気を取られている内に逃げ出そうという魂胆は、エスティリオには見え見えだったようだ。
さらに続いて他の3人も、地面の餌食になっていく。
「うわぁぁ! たっ、助けてくれ!! 」
「地面がっ……!!」
最後には肩から上の部分だけを残し、地面に埋まった4人。部分的な魔法だったなら、魔法避けが施された剣で弾き返せただろうが、こうも大掛かりな魔法を使われては全くの無意味だった。
身動きの取れなくなった山賊達は喚き散らしている。
「なんなんだよ! こんな魔法使えるとかおかしいだろ!!お前一体何者だ?!」
「せめて止血くらいはさせてくれ! 傷を負ったまま埋めるとか外道過ぎるだろ!」
「こんな形で生き埋めにするとか、俺たちをどうする気なんだ?」
「あーうるさい。お前たちの声すら、彼女に聞かせたくないんだよね。――少し黙ってろ」
エスティリオが煩わしそうに言うと、盗賊達の口から声が出なくなった。