呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!
「ごめん、怒った? だって他の人にエルを触らせたくなかったからさ」
「いいえ、本当にお手数をお掛けしました。1人で湯に浸かって、すっかりリラックスしてしまったようです」
「そう? それなら毎晩、ここに入りに来てもいいよ」
「まさか。私には不相応でございます」
「なんで? 家主の俺がいいって言っているのに」
ラシェルの横髪をうしろにかき上げたエスティリオが、顔を覗き込んでくる。
どうしてこうも、『エル』を甘やかしてくるのだろう。
言葉に詰まって目をそらすと、エスティリオはしゅんと項垂れてしまった。そんな顔をされると罪悪感が生まれてくる。
「私は……魔塔主様に良くしていただく理由が、よく分かりません」
「そんなの、エルが一番よく知っていんじゃない?」
「私が……ですか?」
さっき水を飲んどばかりなのに、口の中がカラカラに乾いてくる。
やはりエスティリオは、エルが本当は何者なのか知っている?
それ以外に、エスティリオがエルに構う理由が見当たらない。
今すぐここから逃げ出したい。魔毒蟲に喰われる前に――。
ぎゅっと掛けていた布団を握ると、その手を上から柔らかくエスティリオの手で包まれた。
「だってエル、可愛いから。俺のタイプってこと」
にっこりと、満面の笑みで言われてしまった。
そういう事、なのね。
ラシェルの今のこの容姿が、たまたまエスティリオの好みなだけというなら納得がいく。
そばかすの浮き出た頬に、小さな鼻と目。肉付きも悪く華やかさもないエルの容姿は、一般的には美人の部類には入らないが、人の好みは人それぞれ。
正体がバレている訳では無いと知るとホッとして、思わず息を吐くと、エスティリオはクックっと笑っている。
「エルは知らないんだ? 自分がどれだけ魅力的か」
「滅相もございません。でも魔塔主様にそう言って頂けると、少し自信が湧いてきますわ」
「うん、もっと自信持ちなよ。ああでも、それ以上魅力的になられると、ライバルが増えて困るな」
「ライバル、ですか……。魔塔主様にこの様な言い方をすると、自惚れ屋だと思われそうですが……」
「なに?」