呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!

11. 魔晶石をきみに

 研究の成果は一朝一夕に出せるものではない。
 多くのトライとエラーと。
 魔法薬の研究なら失敗すれば材料を集め、またすぐに別の方法を試せるが、薬草栽培はそうもいかない。
 良い成果が得られなければ、また次、その季節が巡ってくるのを待つ必要がある。
 もどかしいが、時間を操作する魔法などないのだから、こればかりは仕方がない。

 焦る気持ちを必死に押えながらも、動かずにはいられないラシェルは、ランタンに手を伸ばした。

「この魔晶石、もうすぐ魔力が無くなりそうね」

 魔晶石の中の魔力残量は、発光具合である程度わかる。魔力の込められた石は青白く光る為だ。この石はもうほとんど分からないくらいにしか発光していない。
 
 親指の先程の大きさの魔晶石を、手に取ったランタンに入れると明かりが灯もる。
 
 どうか今夜だけは持ちますように。
 
 山賊に襲われた際に持っていた、買ったばかりの魔晶石は無くしてしまった。
 魔塔騎士から返された荷物には入っていなかったので、魔晶石もなかったかと聞くと、現場にあった荷物にはもちろん、山賊も持っていなかったと返された。
 きっとあの事件の最中に、川にでも落ちてしまったのだろう。
 魔晶石が無ければ魔道具を使えないので、間に合わせであまり質の良くない魔晶石を購入したのだが、やはり安物だけあってもう魔力が尽きそうだ。
 この魔晶石にもう一度魔力を込めてもらうか、それとも新しく、もう少し質の良い品を買うか悩むところだ。
 魔力注入だけならば、新しいものを買うよりも安く済むが、質の悪い石を買ってしまったが為に、貯められる魔力量はぐっと落ちてしまっているだろう。
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