呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!
「明かりもつけずに小屋に近付いて来るから、怪しいヤツかと思って動けないようにしたんだ――っとと!!」
急に身体が動くようになったのとエスティリオがいた驚きで、胸に抱えていた瓶のことを忘れていた。するりとラシェルの手から滑り落ちた瓶はそのまま割れて、中のエビごと散ってしまうかと思ったが、エスティリオが浮遊術を使ってくれたおかげで助かった。
ふわふわと浮きながらラシェルの手に戻ってきた瓶を見て、安堵の息が漏れる。
「良かった……」
中を見ると、星屑エビはビンの中で元気そうに動いている。
「それは?」
「研究に使おうとしている星屑エビです。先程森の側にある小川で捕まえてきたので、ここにある水槽に移そうと思いまして……魔塔主様はこんな夜更けにどうなさったのですか?」
住居のある魔塔内でならともかく、ここは館からは離れている。何をしていたのかと首を傾げるラシェルに、エスティリオはニコッと笑い返してきた。
「眠れなかったから散歩ついでに寄っただけ」
「そう……ですか……」
散歩のついでに寄るところだろうか?
納得はいかないが、深く追求できる立場にない。そもそもここだって魔塔主の物なのだから。
モヤモヤとしながらも、小屋の中にある水槽に捕まえてきたエビを移し替える。
明日になったら、マルガロンの栽培研究の為に作ってもらった大きな池に放すつもりだ。
用件を終えて小屋から出ると、エスティリオが部屋まで送っていくと申し出てくれた。
暗い中宿舎まで戻らなければならないと覚悟していたので、お言葉に甘えることにした。