呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!

 信じられない。
 道端に転がっていた石を魔晶石に変えてしまうだなんて。
 唖然としたまま手にしている魔晶石を見つめるラシェルに、エスティリオは種明かしをしてくれる。

「まず石をダイヤモンドに変えたんだよ。ダイヤモンドが一番、魔力を多く貯められるし長持ちだからね。その後は売ってるやつと一緒。普通に魔力を込めただけ」
「だっ、ダイヤモンド?!」

 事も無げに説明してくれたが、やっていることはかなり高度な魔法に違いない。そうでなければダイヤモンドも魔晶石も、もっと安く売られているはずなのだから。

「ダイヤモンドから出来た魔晶石なんて……。私にはこれに見合うだけの対価はお支払いできません」
「俺が対価なんて求めてないって、分かってるでしょ? エルが喜んでくれたらそれで満足。エルの為ならいつでも、いくらでも作るよ」

 魔晶石を握る手に添えられたエスティリオの手は温かい。
 エスティリオは好きな人――エルの為になら何でもする気なのだろう。

 私、ラシェルよ。
 あなたが好きなエルは、本当はラシェル・デルヴァンクールなの。

 口から出かかって、飲み込んだ。
 エスティリオを騙しているのは気持ちが悪いし、なにより彼からの好意を真正面から受け止められないもどかしさに、ラシェル自身がどうにかなりそうだ。

「ありがとうございます」

 ただ優しく笑むばかりのエスティリオに、ラシェルはひと言御礼を述べるのが精一杯だった。 
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