呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!

12. 魔塔の図書館

 部屋に戻るなり、エスティリオはカウチソファーにだらりと横たわった。

 底なしの魔力を持つと言われるエスティリオでも、流石にイチゴ程もある大きさの石をダイヤモンドに変えて、更に容量の限界まで魔力を吹き込むとなると疲労が出た。身体が重い。

「全く……なんて俺は気が利かないんだか」

 魔晶石は値が張る。
 何度も耳にしてきたというのに。
 魔力をあり余るほど有し、さらに魔法にも長けているとなると、魔力がないとどう困るのか実感がなかなか湧かないし、考えも及びにくい。というのはただの言い訳。
 ラシェルが十分な魔晶石を手に出来ていない、という事実に気が付けていなかった自分に嫌気がさす。
 服なんかよりも先に渡すべきものがあっただろうがと、自分を殴ってやりたいくらいだ。

『そんなことは絶対に致しません』

 あげた服を売ってもいいと言った時の、ラシェルのあの顔。
 服を売って魔晶石に換えてしまえば済む話なのに、本当に大事にしてくれているのかと思うと胸元がギュッとする。

 どうしたらエルとラシェルの秘密を紐解けるのかと探っているが、なかなか糸口は見つからない。
 他の女性と相部屋になっている宿舎を探るのは難しいし、ラシェルが多くの時間を過ごす薬草栽培研究所になら何か手掛かりはあるかと、夜中に忍び込んでいたのだが……。
 まさかあのタイミングで、ラシェルが入ってくるとは思わなかった。

「収穫はなし……か」

 資料や記録が保管されている棚や、全く関係のなさそうな場所まで探ってみたが、エルがラシェルであることをひた隠す理由に繋がる手掛かりは見つけられなかった。

「ラシェル……」

 眠い。
 自分の頬を涙が伝っていることにも気が付かないまま、エスティリオは眠りの中へと落ちていった。
< 72 / 133 >

この作品をシェア

pagetop