呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!
これはまた、とんでもないものを貰ってしまったわ。
小さな革袋に入る魔晶石を見て、ラシェルは改めて昨晩の出来事が夢ではなかったのだと思い知る。
青白く光るそれが、ダイヤモンドから出来た魔晶石だなんて。これだけ大きなダイヤモンドというだけでも価値は計り知れないのに、更に魔力が容量一杯に溜め込まれているなんて。
比較的魔力を多く貯められると言われる水晶よりも、何十倍もの容量があるというのだから、もともと持っていたラシェルの魔晶石の何百個分になるのか、検討もつかない。
ここまでの事をしておいてもらって何も返せない。
返せないどころか騙している。
そして……多分ラシェルは嫉妬している。『エル』という人に。
エルとラシェルは『=』であって、そうではない。
エルに対してエスティリオが好意を見せるたびに、エルとラシェルは乖離していく。
「バカだわ……。自分に嫉妬するなんて」
エスティリオが好きなのは、実家が染料植物農家のごく普通の女性で、アカデミーで一年を共に過ごし冷遇された皇女なんかではない。
エスティリオがタイプだと言った今の容姿だって、ラシェルとは全く異なる。
あの頃は純粋に、アカデミーのかわいい後輩として接していたけれど今は……。
ラシェルの中のエスティリオの立ち位置が、明らかに変わってきてしまっている。
それなのに、エスティリオの片思いを傍から見ているみたいで苦しくなる。