呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!

「なんて、冗談だよ。魔法で心が読めるのなら、俺は今、こんなに苦労してない。そんな便利な魔法があるなら教えて欲しいよ」
「じょ……冗談ですか」

 気が抜けたように胸をなで下ろしている。
 心を読まれると、何がそんなにマズイのだろう? 心の中を読まれて喜ぶ人間なんていないだろうが、それでもこの反応はなんだ?
 本当にラシェルの心を読んでしまいたい。
 
「本当は店の入口にあったショーケースを通り過ぎる時、エルがあのケーキを見てた気がしたってだけだよ」
「そんな事でしたか」
「意外と顔に出ているよ」
「気を付けますわ」

 くすくすと笑いあっているうちに、ケーキとお茶とが運ばれてきた。
 生地が硬いタルトを食べるのは難しい。平民の出であるはずならば、ここまで美しい所作で食べることなどまず出来ない。ということに、本人はやはり気が付いていない。
 それだけ幼い頃からマナーを教え込まれてきた証拠だ。本人にとってはこれが、通常運転なのだから。

「そのワンピース、着てくれているんだね」
「あ……はい。せっかくの外出でしたので」

 ラシェルの顔がフワッと赤く色付いた。
 会った時から、着ている服がプレゼントしたものだとは気が付いていたが、改めて指摘すると恥ずかしそうにしている。
 
「凄くよく似合ってる」
「ありがとうございます」

 はたから見たら恋人同士に見えるかもしれない。 
 そんな事を考えつつお喋りを楽しんでいると、タイムリミットはすぐにやってきてしまった。
 帰る場所は同じなのだからと馬車に乗るよう誘うと、意外な事にアルノートも「是非そうしてください」と賛同してきた。いちいちニヤつくのはやめて欲しい。

「それではお言葉に甘えさせて頂きます」

 エスティリオのエスコートを受けながら車に乗り込んたラシェルは、その膝に荷物をのせている。
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