呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!
「そういえば図書館でどんな本を借りてきたの?」
ラシェルの事だから、研究の役に立ちそうな本でも借りてきたのだろうと思い聞くと、また顔を赤くしている。
「小説を……」
「へえ、どんな小説? 歴史とか推理ものとか?」
「いえその……」
ガタンっ、と大きく車体が揺れた。石でも踏んだのだろう。その拍子にラシェルの膝の上に乗っていた本が、床へと滑り落ちた。
拾い上げて表紙を見ると、2冊とも甘ったるそうなタイトルが並んでいる。
「これって……恋愛小説?」
ますます顔を赤く染めあげたラシェルは、消え入りそうな声で「はい」と頷いている。
ラシェルからはおよそ想像の付かないジャンルの本だったとはいえ、女性なのだからそこまで恥ずかしがらなくてもいいのに。
ラシェルの反応が可愛くて仕方がないエスティリオは、そっとしておいてあげられるはずもなく、更に追求してしまう。
「どんな内容かはもう知っているの?」
「ええ……借りる前にざっと目を通しましたので」
パラパラと中身に目を通していると、こちらを見つめるラシェルの表情が強ばっていることに気がついた。
――なんだ?
「そちらの本は……主人公が呪いにかけられてしまうんです」
「へえ」
「かねてから想いを寄せていた男性から口付けされると、その呪いが解ける。というラストのようでした」
「ははっ、なかなか面白い呪いの解き方だね」
魔法に多少なりとも精通していれば、そんな解き方がないことくらいは分かるし、想像力豊かな作者だ。
「口付けすると解呪されるなんて、どんなギミックなんだろう。口付けしながら呪文の詠唱でもしたのかな。これだとヒーローはただの不埒な男だな。男性が実は解呪するための魔法薬を口に含んでいたとか? それとも他人の魔力を体内に一定量入れると解けるとか? 唾液には魔力が多く含まれるからね」
うーん、と真剣に考えるエスティリオに、ラシェルはクスッと笑った。
「ロマンスが足りませんわ。そこは愛の力でよろしいのでは?」
「愛の力? ふうむ、なるほどね」
「魔塔主様のせいで、そちらの本はもう楽しく読めなさそうです」
「ごめん」