呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!
「あなた、焼いたお肉が好みなの?」
「ウォッフ」
「ふふっ、面白い子。いいわ、あなたの為に買ってきたんだもの。全部食べて」

 自分用に持ってきたパンとチーズとを隣に置いて昼食の準備をすると、今度は肉ののった皿を鼻ズラで押してラシェルの前へと持ってくる。

「ええと……。これは私も食べろってことかしら?」
「ウォッフ!」

 まさか犬から、ご馳走を恵んでもらうとは。

「ありがとう。それじゃあ一切れ頂くわね」

 フォークに刺してお肉を口に入れると、リオはしっぽをユラユラさせながら見ている。

「ほんと、変な子」 

 変ではあるが嫌ではない。
 食べることには満足したのか、今度はラシェルの膝に頭を乗せてくつろぎ出した。
 なんとも図々しいけれど、こえして甘えてきてくれるのはラシェルに気を許してくれている証拠。可愛くて仕方がなくて、ついつい頬が緩んでしまう。

「うわぁ、こりゃ重症だよ」

 犬に膝枕をしてあげながらパンを食べるラシェルを見て、ナタリーが呆れ顔で額を押さえている。同感、と言ったのはアルベラ。

「人間のオスに相手にされなくなったからって、オス犬に縋るなんてね」

 辛辣なセリフを吐くアルベラに、ナタリーは苦笑いしている。

「アルベラ様、言い方」
「だってそうでしょ。ここ何ヶ月かは魔塔主様もぱったり来なくなったし」

 魔塔主のワードに勝手に心臓が反応して、ズキンッと痛んだ。
 
「魔塔主様がエルに気があるなんて言ったの誰よ」
「はーい、あたしです」
「だから期待させるなって言ったでしょ」
「はい、反省します」

 二人の会話に入れる突っ込みも思いつかずただただ聞いていると、リオが耳の辺りにフンフンと鼻息をかけながら舐めてきた。

「きゃあ! ちょっとリオ、くすぐったいったら」
「犬にまで慰められちゃってんの。末期だわ」
「じゃああたし達は畑耕してきまーす」
「ええ、お願いね」

 本当に末期かもしれない。とリオの頭をひと撫でする。
 リオがいなかったら、エスティリオがいない寂しさに耐えられないだろうから。
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