呪われた皇女ですが、年下ワンコ系魔塔主様に迫られてます!

15. 中間報告

エルが薬草栽培研究官になってから、半年以上が過ぎた。先日、魔法薬部へ中間報告として、これまでの成果や経過等を書き記した資料を提出すると、長官のブランシャールから研究所に来たいとの申し出があったので、今ラシェルは到着を待っているところだ。
 そわそわとしながら準備を進めていると、向こうから幾人もの人影がこちらへ近付いてくる。

「お待ちしておりました。ブランシャール長官」
「お疲れさん。見たいやつは付いて来いって言ったら、ぞろぞろ付いてきちまった」
「嬉しいですわ。どうぞご覧になってください」

 小屋の中に全員が入るには狭すぎる。
 これは外で説明をした方が良さそうだと、畑へと案内した。

「中間報告書に書いてある内容が真実かどうか、この目でみて確かめようと思ってな」
「もちろんです。真偽も確かめずに上へ書類を上げる訳には参りませんもの」
「うむ、それでは案内を頼む」

 中間報告書と言っても、内容自体はラシェルが魔塔で働き始めてからこれまでの、成果や経過を書いたもの。
 魔塔に来てからの研究成果を全て、あの書類に託すつもりで書き上げた。
 
「まず初めにこちら、棘無しのブラッディミルトスです」 
「ふむ、確かに葉に棘が付いていないようだな」
「試しに触れてみますね」
「お、おいっ。棒か何かで試した方がいいんじゃないか?」

 以前魔法薬部へ行った時、ブラッディミルトスの葉に刺されて流血していたゲールが、慌てた様子で止めに入った。

「ご心配ありがとうございます。ですが大丈夫ですよ。ほら」

 ラシェルがブラッディミルトスの葉に触れても、何も起こらない。他の植物と同様、ただ触れられるがままに揺れるだけ。
< 91 / 133 >

この作品をシェア

pagetop