四神、騎士団と出会う【四神の国の朱雀さま×あやかし戦記】
「じゃあ、どうやって倒すんだ!?」

レオナードの言葉に、ツヤは「知るか!」と返す。不意に妖は、イヅナと目を合わせた。そして、イヅナの方へと走り出す。

「イヅナっ!!」

その場にいた全員が叫ぶ。イヅナは、恐怖からかその場から動けないでいた。

妖はイヅナに向かって大きな爪を振り下ろし、イヅナは固く目をつぶる。

「……はい、そこまで」

キン、という音が響き、その次にイヅナたちにとって聞き覚えのある声が聞こえ、イヅナはそっと目を開けた。

イヅナの目の前に、オレンジの髪を1つに結んだ――朱雀が、妖の爪を剣で受け止めている。

「……アカネくん……」

イヅナが呟くと、今度は物凄い勢いで風が吹き、大きな妖はいとも簡単に吹き飛んだ。

「出たな――」

ギルベルトが朱雀に声をかけようとすると、それに被せるように朱雀は声を出す。

「――ゲンちゃん」

「……そいつは、雑魚中の雑魚。アカネだけでも倒せるよ」

ガサガサと音を立てながら茂みの中から出てきたのは、黒い髪に緑の瞳の男性――玄武だった。

玄武に続いて出てきたのは、白髪に水色の瞳の白虎、青みがかった黒髪に青い目の青龍、黒髪に水色の瞳の颯真である。

男性が4人も茂みから出てきたことに驚いたイヅナ、ヴィンセント、レオナードだが、ギルベルトとツヤはまた別のことに驚いたのだった。
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