四神、騎士団と出会う【四神の国の朱雀さま×あやかし戦記】
「……駄目だよ、鬼のお嬢ちゃん。君には、この怪物は倒せない」

「思い通りには、させないよ」

白虎はそう呟くと、風を操って風を怪異に当て、怪異を吹き飛ばす。ツヤは、一瞬でクロの懐へと潜るとクロを蹴り飛ばした。

(……朱雀から聞いていたけど、本当に強いんだね。いつか、ツヤさんと手合わせしてみたいや)

何十メートルにも及ぶ距離を勢いよく吹き飛ぶクロを見て、白虎は涼しい顔をしながら思う。

「……」

そんなクロを助けたのは、またもや怪異だった。

「……あの怪異は……」

怪異の姿を見て、白虎は朱雀が異世界に飛ばされる直前に戦った怪異を思い出す。

クロを助けた怪異は、その怪異にそっくりである。

「……ねぇ、ゲン。あの怪異を倒したら、アカネの術って使えるようになると思う?」

白虎のもとにようやく辿り着いた青龍が、玄武に話しかけた。

「あ、やっと来た」

「お前が速すぎるだけだよ」

白虎の呟きに、そう朱雀は返す。

「……多分、使えるようになると思う」

玄武がそう答えると、青龍は「じゃあ、さっさと倒して、ついでに妖使いを団員に捕まえてもらって……帰りますか」と白虎の脇を通り過ぎながら言った。

「……もちろん、俺も混ぜてくれるよね?」

そう、白虎が問いかければ、青龍は「もちろんだよ」と言う。
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