四神、騎士団と出会う【四神の国の朱雀さま×あやかし戦記】
「保護する必要はないよ。3人とも」

ギルベルトの言葉に、イヅナは「それって、どういう……」とギルベルトの方を向きながら言った。

片腕がないために普段は戦わないギルベルトの手には剣があり、ギルベルトはゆっくりと朱雀に近づく。

朱雀の目の前で立ち止まると、朱雀に剣先を向けた。

「ギルベルトさん!?」

レオナードとヴィンセントが、同時にギルベルトの名前を呼ぶ。

「君、一体何者だ?答え次第では、斬るよ?」

ギルベルトの棘のある声に、イヅナはゾッとした。3人は何が起こっているのか分からず、混乱する。

「……あいつから、嫌な匂いがする。普通の人間からは、するはずのない匂いだな」

角などを隠し、鬼だとバレないようにした状態のツヤが3人に簡潔に話すと、3人は同時に「え?」とギルベルトに剣を突きつけられている男性を見た。

ギルベルトは、朱雀に剣を突き付けながら、彼の返答を待つ。

彼は怯えたような様子は見せず、ジッとギルベルトを見つめていた。

その朱雀の様子が、ギルベルトの中で立てたとある仮説の可能性が高まってしまう。

(……ここは、何て答えるべきだろうか。正直に話す?いや、多分信じてもらえない。今の僕は、瘴気をまとってしまっている)

冷静に、朱雀は頭を働かせた。戦いの経験を重ねた朱雀は、剣を突き付けられるだけなら怖くはない。
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