四神、騎士団と出会う【四神の国の朱雀さま×あやかし戦記】
「…………何者って……ただ、迷子になっただけですよ」

朱雀がそう答えると、ギルベルトは「なら、どうしてお前から嫌な気配がする?嘘は通用せんぞ。妖使いめ」と剣を薙ぎ払う。

それをその場から飛び退いて避けた朱雀は、ギルベルトの口から出た「妖使い」という言葉に心の中で首を傾げた。

「……妖、使い?」

朱雀と同じことを思ったであろうレオナードが、首を傾げる。

「……名前の通りだ。妖を使役する人間のことを指す」

そんなレオナードに、ツヤは簡潔に説明をする。視界にツヤの姿が入った朱雀は、ツヤに目線を動かした。

(……何だ?あの子……人間じゃない。かといって、神様でもない。何者なんだ)

「最近妖の数が増えているのも、君の仕業だね?」

「……あの、言っている意味が分からないんですけど」

ギルベルトに視線を戻しながら朱雀が言うと、ツヤは朱雀に向かって走り出す。

ツヤの拳を、朱雀はすんでのところで避けた。

ツヤは、今ギルベルトからの指示で角などを隠して、見た目からは鬼だと分からないようにしており、手加減もしている。

(……あの2人から、敵意を感じる。これは、戦うか逃げるかの2択だな……でも、あの人間じゃない子から逃げ切れるとは思えない。術を使うか?……あぁ、もう!ここに、玄武がいればな)

玄武なら、適切な判断を下してただろうに!、と朱雀は思う。ここまで、玄武の力を借りたいと思ったことは朱雀は一度もなかった。
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