四神、騎士団と出会う【四神の国の朱雀さま×あやかし戦記】



「……君が、あの妖を使役していないのは分かった。けれど、妖使いである可能性はまだ消えていない」

ギルベルトの屋敷にある、ギルベルトの自室。ツヤに動きを封じ込められた朱雀は、ギルベルトからいろいろと質問をされていた。

「あ、そういえば……名前、聞いていなかったね。名前は、なんだい?」

「……まずは、自分が名乗るべきでは?」

「それもそうだね。僕は、ギルベルト・エーデルシュタイン」

朱雀はギルベルトの名乗りを聞き、違和感を覚えた。朱雀のいる世界では、聞いた事のない名前だったからである。

(……なるほど。ここは、異世界なわけか……しかも、ギルベルトって名前……怪異の能力に巻き込まれて異世界で暮らしていた時に、白虎が読んでいた漫画に出てきたキャラの名前だ……ということは、多分……名前・名字で名乗ってるのかな?……と、なると……ギルベルトが名前で、エーデルシュタインが名字か)

朱雀はようやく、ここが異世界なのだと気付いた。そして、怪異の能力に巻き込まれ、異世界で暮らしていた時に得た知識を元に少しずつ理解していく。

「名乗ったよ。君は?」

(……ここは、合わせよう。そして、正体を隠そう……名前は、うん。あれでいいや)

「……アカネ・ミナミウラ」

異世界で暮らしていた時に名乗っていた名前を、朱雀はそのまま、名乗りを以前名乗っていたものと逆にして使う。
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