こちら元町診療所
‥‥櫻子?
棗先生から出た女性の名前に、
気にしてはいけないと思いつつも
どうしても考えてしまいそうになる。
そんな私の不安そうな顔を見て、
棗先生がニヤリと口角を上げて笑った。
『それはとっくにもう断ったはずだ。
奏真‥いつまで俺に構うんだ?
俺の親のコマで動いて楽しい?』
棗先生の手を振り払うと、ソファに
座る私の隣にきた大志さんが、私を
腕の中に閉じ込めた。
『‥大丈夫‥何も心配いらない。
不安にさせたね。』
大志さん‥‥
『次こんな勝手なことをしたら、
お前のことを本当に許さないよ?
約束と言ったが、俺はその約束に
頷いてもないし返事もしていない。
ただお互い立派な医師になろうとは
言ったがな。』
2人の間に知らない何かがあったのは
聞いてて分かる‥‥そしてそこに私が入ってはいけないことも。
恋人だからといって、好きな人の
全部に関わろうとしてはいけない気が
私はしている。
夫婦とかならまた違うのかもしれない
けれど、過去や隠したい事を無理に
聞き出すのは相手にとって苦痛に
なるかもしれないから‥‥
『俺よりその子を取るの?
だって何にも役に立たないよ?』
ズキッ
『はぁ‥役に立ってほしいから一緒に
いる訳じゃない。俺がただ単純に
愛しいと思い同じ時間を過ごしたい
と思えてる。だから、何を
されても何を言われても靖子だけは
手放すつもりはないよ?例え医者と
いう地位を失くしても。』
『はっ!?本気で言ってる?』
『フッ‥‥本気以外でこんな事
言わない。』
棗先生と話してるのに、自分に向けられているだろう大志さんの気持ちに、
胸が締め付けられ泣きそうになった。
こんな事を伝えてくれる人が大志さんで本当に幸せだなと思えたから
『このことは報告するよ?
次は俺じゃなくておばさまが来るかも
しれないから覚悟してね?
それじゃあね‥‥靖子ちゃん‥‥。』
『奏真‥靖子に手を出したら本当に
許さないよ?これ以上お前のこと
嫌いにさせないでくれ。』
『‥‥もう嫌いなくせに‥。』
ドクン
何故だろう‥‥‥
あんなに冷たい視線を送ったり、
宣戦布告のような発言をしたり
するのに、私にはまるでスネた子供の
ように棗先生が見えてしまったのだ
棗先生から出た女性の名前に、
気にしてはいけないと思いつつも
どうしても考えてしまいそうになる。
そんな私の不安そうな顔を見て、
棗先生がニヤリと口角を上げて笑った。
『それはとっくにもう断ったはずだ。
奏真‥いつまで俺に構うんだ?
俺の親のコマで動いて楽しい?』
棗先生の手を振り払うと、ソファに
座る私の隣にきた大志さんが、私を
腕の中に閉じ込めた。
『‥大丈夫‥何も心配いらない。
不安にさせたね。』
大志さん‥‥
『次こんな勝手なことをしたら、
お前のことを本当に許さないよ?
約束と言ったが、俺はその約束に
頷いてもないし返事もしていない。
ただお互い立派な医師になろうとは
言ったがな。』
2人の間に知らない何かがあったのは
聞いてて分かる‥‥そしてそこに私が入ってはいけないことも。
恋人だからといって、好きな人の
全部に関わろうとしてはいけない気が
私はしている。
夫婦とかならまた違うのかもしれない
けれど、過去や隠したい事を無理に
聞き出すのは相手にとって苦痛に
なるかもしれないから‥‥
『俺よりその子を取るの?
だって何にも役に立たないよ?』
ズキッ
『はぁ‥役に立ってほしいから一緒に
いる訳じゃない。俺がただ単純に
愛しいと思い同じ時間を過ごしたい
と思えてる。だから、何を
されても何を言われても靖子だけは
手放すつもりはないよ?例え医者と
いう地位を失くしても。』
『はっ!?本気で言ってる?』
『フッ‥‥本気以外でこんな事
言わない。』
棗先生と話してるのに、自分に向けられているだろう大志さんの気持ちに、
胸が締め付けられ泣きそうになった。
こんな事を伝えてくれる人が大志さんで本当に幸せだなと思えたから
『このことは報告するよ?
次は俺じゃなくておばさまが来るかも
しれないから覚悟してね?
それじゃあね‥‥靖子ちゃん‥‥。』
『奏真‥靖子に手を出したら本当に
許さないよ?これ以上お前のこと
嫌いにさせないでくれ。』
『‥‥もう嫌いなくせに‥。』
ドクン
何故だろう‥‥‥
あんなに冷たい視線を送ったり、
宣戦布告のような発言をしたり
するのに、私にはまるでスネた子供の
ように棗先生が見えてしまったのだ