こちら元町診療所
断りたい気持ちでいっぱいだったけど、
きっと承諾しなかったら何度でもこうして訪ねて来るような気がした‥‥
棗先生が言っていたことがこんなに
すぐ訪れるなんて‥‥
口から心臓が出そうなほど緊張しているにも関わらず、反対側の後部座席のドアが開けられたので唾をゴクリと飲み込み
深呼吸をした。
「‥し‥失礼します。」
夜ということもあり車内は薄暗いかと思いきや、流石にそこは高級車で、中は対面座席があり、テーブルや照明もあり
明るかったのだ。
恐るべし高級車‥‥
先生が住んでいるマンションも、
見ただけで高そうだとは分かるし、
伊東先生よ家の豪華さを思い出しても
私とは確実に違うお家柄の一家なのは
分かっていた。
これがドラマなら、確実に息子と別れなさいと言われるパターンだ。
真っ白なセットアップのスーツを
着こなす美しい女性から真っ直ぐ
向けられる視線に生唾をまた飲み込む
『‥‥‥大志さんとお付き合い
してるって本当なのかしら?』
ドキッ
いきなり核心を突いてきた‥‥‥
そりゃそうだよね‥‥‥。
こんなお金持ちそうな人が、わざわざ
出向いて聞きたいことなんて、息子の
事に関する事以外ないはず。
挨拶もしない‥‥‥。
出向いておきながら秘書に自分の名前を言わせて自分からは名乗らない。
この人たちの世界で何が常識かは
分からないけれど、叶先生が少なくとも
そういう人でない事に安心した。
「ご挨拶が遅れました。
大志さんとお付き合いさせていただい
てます中原 靖子です。」
数秒前までの怯みすら嘘のように
前を真っ直ぐ向いて笑顔を向けた私に、
女性は目を丸くして驚いている
以前の私だったら、こんなに強く
なれなかったけれど、新しく誕生した
命の重さを知った私は強いのだ。
もう誰にも恥じず、背を向けた
生き方はしたくないから‥‥。
『不愉快ね‥‥‥。』
「奇遇ですね‥‥私もです。
お時間を頂けないかと言われて
仕方なくこうして来ましたが、
初対面で不愉快なんて言われて
気分がとても悪いです。」
大志さんのお母さんだとはわかって
いるけれど、人として向き合えないと
判断したのでそう答え、頭を下げた後
車のドアを開けた。
きっと承諾しなかったら何度でもこうして訪ねて来るような気がした‥‥
棗先生が言っていたことがこんなに
すぐ訪れるなんて‥‥
口から心臓が出そうなほど緊張しているにも関わらず、反対側の後部座席のドアが開けられたので唾をゴクリと飲み込み
深呼吸をした。
「‥し‥失礼します。」
夜ということもあり車内は薄暗いかと思いきや、流石にそこは高級車で、中は対面座席があり、テーブルや照明もあり
明るかったのだ。
恐るべし高級車‥‥
先生が住んでいるマンションも、
見ただけで高そうだとは分かるし、
伊東先生よ家の豪華さを思い出しても
私とは確実に違うお家柄の一家なのは
分かっていた。
これがドラマなら、確実に息子と別れなさいと言われるパターンだ。
真っ白なセットアップのスーツを
着こなす美しい女性から真っ直ぐ
向けられる視線に生唾をまた飲み込む
『‥‥‥大志さんとお付き合い
してるって本当なのかしら?』
ドキッ
いきなり核心を突いてきた‥‥‥
そりゃそうだよね‥‥‥。
こんなお金持ちそうな人が、わざわざ
出向いて聞きたいことなんて、息子の
事に関する事以外ないはず。
挨拶もしない‥‥‥。
出向いておきながら秘書に自分の名前を言わせて自分からは名乗らない。
この人たちの世界で何が常識かは
分からないけれど、叶先生が少なくとも
そういう人でない事に安心した。
「ご挨拶が遅れました。
大志さんとお付き合いさせていただい
てます中原 靖子です。」
数秒前までの怯みすら嘘のように
前を真っ直ぐ向いて笑顔を向けた私に、
女性は目を丸くして驚いている
以前の私だったら、こんなに強く
なれなかったけれど、新しく誕生した
命の重さを知った私は強いのだ。
もう誰にも恥じず、背を向けた
生き方はしたくないから‥‥。
『不愉快ね‥‥‥。』
「奇遇ですね‥‥私もです。
お時間を頂けないかと言われて
仕方なくこうして来ましたが、
初対面で不愉快なんて言われて
気分がとても悪いです。」
大志さんのお母さんだとはわかって
いるけれど、人として向き合えないと
判断したのでそう答え、頭を下げた後
車のドアを開けた。