こちら元町診療所

「浴びません！すぐにでも帰りますので
　服を着替えます！」


バスローブの胸元を隠すかのように
綺麗に畳まれた服を抱える


『浴びた方がいいと思うよ？
　今の靖子の身なり酷いしね？
　そのまま帰れるの？』


えっ！？そんなに酷いの！！？


確かに化粧したまま寝てしまったと
思うし、お風呂にだって入ってない


慌てて片手で頭を触ると、強付いた
手触りにハッとした。



『フッ‥‥。部屋を出て向かい側が
　浴室だから汚れを落としておいで？
　ついでに言うならアルコール臭も
　飛ばしてくれると嬉しいな。』

「クッ‥‥‥すみません！！
　浴びたらすぐに帰りますよ！！
　それじゃあお借りしますね！！」


ガチャ　バタン！！


一体‥どんな状態‥‥ヒｨーー！！
な、なんて酷いんだ‥‥‥


こんな素敵な家で、化粧は崩れ髪はボサボサ、顔も浮腫んで最悪じゃないか‥‥


あんな朝からキラキラした相手を前に、
よく普通に珈琲なんて飲めたものだ。


申し訳ないと思いつつも、豪勢な
洗面所やバスルームにソワソワしながら
熱いシャワーを浴びさせて貰った。


カチャ


『スッキリした？』

「あ、あの‥シャワー
　ありがとうございました。
　それじゃあ帰りますので本当に
　ご迷惑をおかけしました。
　お礼はまた後日させて下さい。」


先生もバスローブから私服に着替えて
おり、ラフながらももスタイルの良さが際立って羨ましいね。


大したお礼は出来ないけれど、借りがあるままだとなんだか気持ち悪い気がしてしまう。


『靖子、こっちにおいで。』

「ッ‥もう！靖子はやめて下さい！！」


ﾄﾞｸﾝ


ビックリ‥した‥‥


いつの間に目の前に来ていたのか、
長くて綺麗な指が私の手を取ると、
強引に部屋の中へ引き入れた


「先生！？聞いてます！？」

『せっかくだから一緒に朝食を食べ
　ようよ。』


えっ！！？