こちら元町診療所
まさかそんなことはないと思いたかった
けれど、当時と変わらない声のトーンを
頭が勝手に覚えてるのだ。
「‥‥あの‥すみません。診療所の
診療時間は終わってますので、
明日以降8時半からまたご来院
頂けますか?」
自分にはもう全く関係のない人‥‥。
だったら他の患者さんと同じように
接するべきだと思う。
振り返り、丁寧に頭を下げると先生の
車のドアノブに手をかけたところを
洋太の手に止められた。
「‥‥離してくださいッ!」
『靖子っ!どうしたんだよ!?俺の事
覚えてるだろ?どうしてそんな態度を
取るんだよ!?』
どうして‥‥?
それはこちらの台詞だ‥‥。
あんなに酷く傷付けた人に対して何故
謝罪の一言もないどころか待ち伏せ
されて逆ギレされなきゃいけないの?
怒りなのか憎しみなのか分からない
けれど、体が勝手に震え始める。
掴まれた手首さえ、そこから汚れて
いくようで嫌悪感に駆られてる。
「本当に離してッ!!」
『靖子!話したいんだ!!頼むよ。
あの時の子供は俺の子じゃなかった!
騙されたんだよ!!だから!』
「だから‥なに?‥そうだとしても、
あなたが彼女と付き合ってて、結婚
をしたことは事実でしょ!?
私が‥‥私がどんな気持ちで‥ッ」
子供の事なんて理由の一つでしかない。
そんなことよりも、私と付き合ってる
時に友人と付き合っていた事の方が
ダメージが大きかった。
そして、最終的に私じゃない彼女を
選んだのは他でもない洋太じゃないか。
気持ち悪さと嫌悪感で、眩暈がまた
しそうになると、腕を引かれてようやく
あの安心する香りに包まれた。
『失礼ですが彼女に何かご用ですか?』
ドクン
私の視界を遮るように抱き締められていて、先生がどんな顔をしてるのか分からない‥‥
でも‥‥聞いたことのないような
低い声に怒っていることだけは物凄く
伝わってくる
『彼女って‥俺は靖子とただもう一度
話がしたいだけで‥』
『話?それが出来たらあなただけは
満足しますよね?
『‥えっ?』
『あなたがしたいのは自分の事しか
考えておらず、相手が何を望んでるか
ではなく、自分に都合の良い言い訳
を並べたいだけだ。‥‥傲慢にも
程があるのではないですか?』
先生‥‥‥
けれど、当時と変わらない声のトーンを
頭が勝手に覚えてるのだ。
「‥‥あの‥すみません。診療所の
診療時間は終わってますので、
明日以降8時半からまたご来院
頂けますか?」
自分にはもう全く関係のない人‥‥。
だったら他の患者さんと同じように
接するべきだと思う。
振り返り、丁寧に頭を下げると先生の
車のドアノブに手をかけたところを
洋太の手に止められた。
「‥‥離してくださいッ!」
『靖子っ!どうしたんだよ!?俺の事
覚えてるだろ?どうしてそんな態度を
取るんだよ!?』
どうして‥‥?
それはこちらの台詞だ‥‥。
あんなに酷く傷付けた人に対して何故
謝罪の一言もないどころか待ち伏せ
されて逆ギレされなきゃいけないの?
怒りなのか憎しみなのか分からない
けれど、体が勝手に震え始める。
掴まれた手首さえ、そこから汚れて
いくようで嫌悪感に駆られてる。
「本当に離してッ!!」
『靖子!話したいんだ!!頼むよ。
あの時の子供は俺の子じゃなかった!
騙されたんだよ!!だから!』
「だから‥なに?‥そうだとしても、
あなたが彼女と付き合ってて、結婚
をしたことは事実でしょ!?
私が‥‥私がどんな気持ちで‥ッ」
子供の事なんて理由の一つでしかない。
そんなことよりも、私と付き合ってる
時に友人と付き合っていた事の方が
ダメージが大きかった。
そして、最終的に私じゃない彼女を
選んだのは他でもない洋太じゃないか。
気持ち悪さと嫌悪感で、眩暈がまた
しそうになると、腕を引かれてようやく
あの安心する香りに包まれた。
『失礼ですが彼女に何かご用ですか?』
ドクン
私の視界を遮るように抱き締められていて、先生がどんな顔をしてるのか分からない‥‥
でも‥‥聞いたことのないような
低い声に怒っていることだけは物凄く
伝わってくる
『彼女って‥俺は靖子とただもう一度
話がしたいだけで‥』
『話?それが出来たらあなただけは
満足しますよね?
『‥えっ?』
『あなたがしたいのは自分の事しか
考えておらず、相手が何を望んでるか
ではなく、自分に都合の良い言い訳
を並べたいだけだ。‥‥傲慢にも
程があるのではないですか?』
先生‥‥‥