こちら元町診療所
face to face
「お邪魔します‥‥。」


一度酔って泊まらせてもらった以来だが、改めて見てもやっぱり凄い広い
部屋で落ち着かない。


『ここの部屋を使うといい。
 ゲストルームだから、ベッドもあるし
 クローゼットに荷物も沢山入るよ?
 今日は体調の事があるからゆっくり
 休んで欲しい。』


「は、はい‥ありがとうございます。」


案内された部屋の広さにも驚いたけど、
部屋に備え付けのトイレやお風呂にも
驚き、今住んでいる部屋よりもどこも
かしこも豪華な設備が整っている


‥‥今更だけど先生ってここで
一人暮らしなのよね?


とても賃貸とは思えない物件に、
落ち着かないままベッドにそっと
腰掛けると、気が張っていたのか
やっと体から力が抜けた。


勢いで来てしまったけど、約束通り
お姉ちゃんにも連絡してくれた。


偶然だとしても洋太の事がなかったら、
こんな大事にもなってなかったのに、
結局先生を巻き込んでしまった事が
申し訳ない‥。


シャワーを浴びてベッドの上で寝転んでいると、いつの間にか深い眠りについてしまい、朝まで一度も起きる事なく眠ってしまった。


「‥‥‥んッ‥」


なんだろう‥‥‥


お腹と背中に感じる温かさに違和感を
感じて目を覚ますと、見慣れない景色に
、ここが先生のお家だと気付く。


‥‥眠れないかと思ったけど、ベッドの寝心地が良すぎて一瞬で寝たしまった。


「‥も‥起きなきゃ。」


『‥もう少し寝ないか?』


えっ!?


少し掠れた甘い声色に、ぼんやりしていた頭が覚醒すると、すぐに背中とお腹に
感じていた温かさの正体に気付いた。


「ッ!!‥先生!!」


あれ!?
私‥昨日案内されたゲストルームで
眠ってしまったはずなのに、ここは以前泊まった時に見たであろう先生の寝室だったのだ。


どういうこと!?夢遊病で出歩いた?
それとも寝ぼけて部屋を間違えた!?


身動きが取れないくらいしっかりと
ホールドされた状態でモゾモゾと
動いていると、首元に触れた生温かい
温度に体が固まった。


『フッ‥‥‥靖子が悪い。』


えっ!?
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