あやかしと四神〜闇を祓って〜
「俺たちも頑張る。だからアカネも頑張って。……一緒にフォルスティアに帰ろう」

「……うん。そうだね」

この事件を解決するということは、フォルスティアの平和に繋がること。そう考えると朱雀の心はほんの少し軽くなった気がした。

「そろそろ向かわないとオークションが始まってしまいますね」

ヴィンセントの一言で朱雀の両脇をレオナードと玄武が、イヅナの両脇をツヤと白虎が抱える。完全に囚われた人間だ。

ツヤたちはオークション会場を知っているようで迷うことなく歩いて行く。引き摺られるように歩きながら朱雀は思った。

(まあ、前みたいに力が封印されているわけじゃないから動きやすいか。それにしても相変わらず僕たちの存在が見えるって不思議な光景だけど)

歩いて行くと、様々な怪異や妖と廊下ですれ違った。全員、鬼に囚われた人間を値踏みするように見ている。ヒソヒソと何かを話す声も聞こえた。

客室を通り過ぎ、奥へ奥へと進んでいく。ビリヤード場やカジノを通り過ぎたところでツヤたちは足を止めた。目の前には黒いスーツを着た悪魔が立っている。
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