恋のレシピは、距離感ゼロで無口な先輩と
レシピ4:女神からのオススメとふたりでデート
*
あ、これはいいかもしれない。
お目当てのものを見つけたのは、普段なら足を踏み入れないような高級感のあるスーパーだった。
店内には色とりどりの輸入食品が並び、ちょっと変わった調味料も置いてある。
中でも気になっていたのはスパイスの棚で、近所では見かけないような瓶まで揃っている。
「ええと、クミン、ターメリック、パプリカ……どれも買ったことはないな」
ラベルには異国情緒溢れるデザインが施されていて、その色合いがなんだか料理への意欲を掻き立ててくれるような気がした。
作ってもらうばかりでは申し訳ないという気持ちから、ささやかではあるけれど何か作れないかなと考えた。
もちろん成川さんのようにお店に出てくるようなクオリティは保証できないけど、それでも与えてもらうばかりではさすがに居た堪れない。
とりあえず何か瓶を取ろうとして、ふと誰かの手と重なりかけた。
「すみません……!」
ほぼ同時に隣からも声が聞こえる。
見れば同い年ぐらいの女性が立っていた。長い髪を軽くまとめ、白いブラウスにデニムのパンツというシンプルなスタイル。
どこか洗礼されたような印象で、同性でもつい見惚れてしまうようなスタイルをしていた。
「お先にどうぞ」
女神のように微笑んだ彼女の買い物かごには、新鮮な野菜やハーブ、そしてちょっとお高めのチーズやオリーブオイルが入っていた。
おしゃれな人はどうやら買うものもおしゃれらしい。
「いえ、ただ見ていただけなんです。なのでどうぞ」
邪魔にならないように一歩下がれば、ありがとうございますと軽く微笑んでひとつの瓶を手にした。
「パプリカパウダー……」
「え?」
「え、あっ、すみません。ジロジロ見てしまいました」
やってしまった。買い物なんて人に見られたくなものなのに。
けれど真っ赤だ。パプリカと知らなければ辛い味を予想してしまうけど味はどうなんだろう。
「いいえ、もしかしてパプリカパウダー好きなんですか?」
「あ……その、どう使うのかなと。料理あまりしないんです」
「そうなんですか? 意外と使いやすいですよ。炒め物やスープに加えるだけで彩りもよくなって、ほんのり甘くて香ばしい風味がつくんです」
へえ、と思わず前のめりで聞いてしまう。
あ、これはいいかもしれない。
お目当てのものを見つけたのは、普段なら足を踏み入れないような高級感のあるスーパーだった。
店内には色とりどりの輸入食品が並び、ちょっと変わった調味料も置いてある。
中でも気になっていたのはスパイスの棚で、近所では見かけないような瓶まで揃っている。
「ええと、クミン、ターメリック、パプリカ……どれも買ったことはないな」
ラベルには異国情緒溢れるデザインが施されていて、その色合いがなんだか料理への意欲を掻き立ててくれるような気がした。
作ってもらうばかりでは申し訳ないという気持ちから、ささやかではあるけれど何か作れないかなと考えた。
もちろん成川さんのようにお店に出てくるようなクオリティは保証できないけど、それでも与えてもらうばかりではさすがに居た堪れない。
とりあえず何か瓶を取ろうとして、ふと誰かの手と重なりかけた。
「すみません……!」
ほぼ同時に隣からも声が聞こえる。
見れば同い年ぐらいの女性が立っていた。長い髪を軽くまとめ、白いブラウスにデニムのパンツというシンプルなスタイル。
どこか洗礼されたような印象で、同性でもつい見惚れてしまうようなスタイルをしていた。
「お先にどうぞ」
女神のように微笑んだ彼女の買い物かごには、新鮮な野菜やハーブ、そしてちょっとお高めのチーズやオリーブオイルが入っていた。
おしゃれな人はどうやら買うものもおしゃれらしい。
「いえ、ただ見ていただけなんです。なのでどうぞ」
邪魔にならないように一歩下がれば、ありがとうございますと軽く微笑んでひとつの瓶を手にした。
「パプリカパウダー……」
「え?」
「え、あっ、すみません。ジロジロ見てしまいました」
やってしまった。買い物なんて人に見られたくなものなのに。
けれど真っ赤だ。パプリカと知らなければ辛い味を予想してしまうけど味はどうなんだろう。
「いいえ、もしかしてパプリカパウダー好きなんですか?」
「あ……その、どう使うのかなと。料理あまりしないんです」
「そうなんですか? 意外と使いやすいですよ。炒め物やスープに加えるだけで彩りもよくなって、ほんのり甘くて香ばしい風味がつくんです」
へえ、と思わず前のめりで聞いてしまう。