【番外編】過保護な医者に、今度は未来まで守られてます
焼きたてのチーズケーキがオーブンから出された瞬間、ふわりと漂う香ばしい香りに、大雅が「うわ、絶対うまいやつ」と満面の笑みをこぼした。
粗熱を取って、冷蔵庫で少し冷やしたあと、テーブルに皿を並べてふたりで向かい合う。
「いただきます」
「いただきます」
一口食べて、大雅の目がぱっと見開かれる。
「……なにこれ。お店レベル」
「でしょ? 私、実は焼き菓子得意なんだから」
「やばいな、惚れ直す」
雪乃はスプーンを口元に運びながら、ちょっとだけ得意げに微笑む。
「そんなこと言っても、おかわりはひと切れだけだよ?」
「えー。俺、今日すごく働いたんだけどな。午前も午後も外来で、患者さんにもたくさん優しくして……」
「甘いものに弱い循環器内科医って、どうなの?」
「いや、それ言ったらさ――スイーツ作ってくれる患者さんってどうなの?」
「ふふ、それは特別枠です」
「つまり、“俺の”お姫様枠ってことね?」
「……はいはい、今日だけね」
大雅が小さく勝ち誇ったように笑って、ふた口目を口に運ぶ。
「やっぱ最高だわ。来世はこのケーキになりたい」
「ちょっと意味わかんないから!」
雪乃が思わず笑いながらも、「じゃあ来週また焼いてあげる」と小さくつぶやいた。
「え? もう一回言って?」
「一回しか言わない」
「録音しとけばよかった……」
そうやって冗談を言い合いながら、二人で過ごす、静かで甘やかな午後。
ケーキの甘さと、心のぬくもりと。
ほんの少しだけほろ苦さもある、そんな「ふたりの味」が、今日もまた一つ、記憶に刻まれていく。
粗熱を取って、冷蔵庫で少し冷やしたあと、テーブルに皿を並べてふたりで向かい合う。
「いただきます」
「いただきます」
一口食べて、大雅の目がぱっと見開かれる。
「……なにこれ。お店レベル」
「でしょ? 私、実は焼き菓子得意なんだから」
「やばいな、惚れ直す」
雪乃はスプーンを口元に運びながら、ちょっとだけ得意げに微笑む。
「そんなこと言っても、おかわりはひと切れだけだよ?」
「えー。俺、今日すごく働いたんだけどな。午前も午後も外来で、患者さんにもたくさん優しくして……」
「甘いものに弱い循環器内科医って、どうなの?」
「いや、それ言ったらさ――スイーツ作ってくれる患者さんってどうなの?」
「ふふ、それは特別枠です」
「つまり、“俺の”お姫様枠ってことね?」
「……はいはい、今日だけね」
大雅が小さく勝ち誇ったように笑って、ふた口目を口に運ぶ。
「やっぱ最高だわ。来世はこのケーキになりたい」
「ちょっと意味わかんないから!」
雪乃が思わず笑いながらも、「じゃあ来週また焼いてあげる」と小さくつぶやいた。
「え? もう一回言って?」
「一回しか言わない」
「録音しとけばよかった……」
そうやって冗談を言い合いながら、二人で過ごす、静かで甘やかな午後。
ケーキの甘さと、心のぬくもりと。
ほんの少しだけほろ苦さもある、そんな「ふたりの味」が、今日もまた一つ、記憶に刻まれていく。